セネガル、エネルギー主権確立に向け天然ガスの輸入停止方針、電気料金を引き下げへ
(セネガル)
アビジャン発
2025年10月31日
セネガルのウスマン・ソンコ首相は10月27日、近日中に電気、ガス、石油製品の価格を引き下げることを示唆した。10月24日付「ル・ソレイユ」によると、セネガルの電力コストは高圧電力で1キロワット時(kWh)あたり91.84CFAフラン(約25円、1CFAフラン=約0.27円)で、コートジボワールの72CFAフランに比べて高い。ビラム・スレイ・ジョップ・エネルギー・石油・鉱山相によると、今回の価格引き下げは、家計への救済策としての短期的な取り組みの結果だが、新規ガス火力発電所の建設と再生可能エネルギー戦略により、2026年から電気料金の構造的な引き下げが可能になるとの見解を示した(10月29日付「セネウェブ」報道)。
セネガルでは2025年3月に海底ガス田「グラン・トルチュー・アハメイム(GTA)」で天然ガスの生産が開始され(2025年3月19日記事参照)、政府は、国産天然ガスによる「ガスから電力へ」戦略を推進し、8月には2026年以降の天然ガスの輸入を停止する方針を示した。これは、エネルギー主権を経済競争力強化の中核に据えた国家開発アジェンダ「セネガル2050」に沿った戦略の一環で、政府は全ての電力をガス、風力、太陽光、水力などの国内資源から生産することで、電力価格の引き下げと産業競争力強化を目指している(8月21日、10月24日付「ル・ソレイユ」)。
2025年5月には、同国最大規模のベル・エア発電所〔335メガワット(MW)〕で、主燃料を重油から天然ガスに切り替える作業を開始し、2025年末の完了を予定している(5月14日付「エコフィン・エージェンシー」)。そのほかにも、セネガル電力公社はガス火力発電所の設置と改造工事を進め、キャップ・デ・ビッシュWAE発電所で300MW(2025年)、ガンドン発電所で250MW(2026年)、キャップ・デ・ビッシュEPC発電所で120MW(2027年)、ムボロ発電所で300MW(2030年)と合計970MWの生産プロジェクトを実施している(8月10日付「ル・ソレイユ」)。
また政府は、国内唯一の製油所を有するアフリカ石油精製公社(SAR)による第2製油施設の建設を計画し、年間生産能力を150万トンから500万トンに増強することを目指している。約50億ドル規模の本プロジェクトは、2024年6月に石油生産を開始したサンゴマール油田の原油全てを精製することを目指し、現在、セネガル投資促進・公共事業公社(APIX)との戦略的パートナーシップに基づく調査を進めている(10月24日付「ル・ソレイユ」)。
(長屋幸一郎、橘欣子)
(セネガル)
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