ホンダと東風汽車、武漢で水素燃料電池の商用車の実証運行開始

(中国)

武漢発

2025年10月30日

本田技研工業(中国)投資(ホンダ中国)は10月22日、中国の東風汽車集団と共同で、水素燃料電池商用車(FC商用車)の社会実証運行を開始した。両社は共同合弁の物流企業の武漢東本儲運(東本儲運)に委託し、武漢市の既存配送ルートで先行的に実証運行を行う。これを起点に広州市や上海市などに拡大していく。同プロジェクトは、東風グループが商用車分野で培った豊富な経験や、ホンダの高性能燃料電池技術、東本儲運の実際の輸送ニーズを基盤とした新たな分野での協業で、3社は連携してカーボンニューラル社会の実現に貢献するとしている。

ホンダ中国と東風汽車集団は、東風汽車集団の商用トラックに対するホンダの燃料電池(FC)システムの適合性について検証を行ってきた。2023年1月11日にはホンダのFCシステムを搭載した商用トラックの走行実証実験を開始し、これまで実走行などで環境適合性、燃費性能、耐久性などを確認していた。

ホンダ中国の伊藤裕直執行副総経理は、2023年以降に東風汽車集団とホンダ中国が進めてきたFC商用車の技術検証により、ホンダの燃料電池技術の卓越した性能が十分に実証されたと述べた。さらに、今回の実証運行プロジェクトは、公道での実走行に向けた重要な一歩になると強調した。

東風汽車集団の黄勇副総経理は、カーボンニュートラルは単一企業で取り組むものではなく、産業チェーン全体で協調して取り組むものと指摘した。今回の実証は、FC商用車の適応性を実地で検証するだけでなく、「研究開発、製造、運営」の全プロセスモデルへの探索でもあると述べた。

東本儲運の張国良副董事長は、今回の実証運行を基盤に水素エネルギーや各種クリーンエネルギー技術の普及を点から面へと拡大し、「グリーン輸送、インテリジェント配車、循環利用」の三位一体による新たな物流エコシステムを構築し、物流業界の低炭素化、スマート化、持続可能性への転換を推進すると語った。

(高橋大輔)

(中国)

ビジネス短信 d5b83ab5049fca92