デンマークで和食イベント開催、「うまみ」に関心

(デンマーク、日本)

デュッセルドルフ発

2025年10月03日

在デンマーク日本大使館と東海大学ヨーロピアンセンターの共催で923日、コペンハーゲン郊外の同センター内で、和食イベントが開催された。現地の和食の有識者や調理学校の教師・生徒、学校給食関係者、日本食材の卸・小売事業者、オーガニック料理レストランのオーナー、おにぎりレストランのオーナーなど、さまざまな業種から40人以上が参加した。

イベントは、宇山秀樹・駐デンマーク日本大使による開会あいさつで始まり、和食研究の有識者で「日本食普及の親善大使」のオーレ・モウリットセン・コペンハーゲン大学名誉教授による「うまみ」に関する講義が行われた。その後、日本大使公邸料理人の鈴木篤史シェフによるだし、みそ汁、おにぎりの作り方のデモンストレーションと試食が実施された。

写真 モウリットセン教授による講義(在デンマーク日本大使館提供)

モウリットセン教授による講義(在デンマーク日本大使館提供)

会場ではさらに、日本食材業者が抹茶や清涼飲料水、北海道の日本酒や鹿児島の焼酎などの酒類、米や米菓、各種調味料を出展し、各ブースでは来場者との間で活発な交流が展開された。

写真 各ブースで来場者と日本食品業者が交流(在デンマーク日本大使館提供)

各ブースで来場者と日本食品業者が交流(在デンマーク日本大使館提供)

会場敷地内にある裏千家の茶室では、現地の茶道会「白檀の会」による茶会も催され、多くのデンマーク人参加者が茶の湯を体験した。

写真 茶道を体験する参加者(在デンマーク日本大使館提供)

茶道を体験する参加者(在デンマーク日本大使館提供)

デンマークでの日本食への関心は、すしやラーメンだけではなく、多様な和食にも広がっている。特におにぎりはコペンハーゲンで専門店やメニューに取り入れるレストランが増えている。大使館関係者は「デンマークで販売されているおにぎりには、酢飯が使われているが、今回のイベントを通じて、米本来のうまみを感じられるおにぎりを味わってほしい」と話した。

デンマークでは和食のおいしさに加え、うまみへの科学的関心、現地にはない調味料のこうじや、欧州にない「隠し味」、サステナビリティーにつながる和食の背景などへの関心も高く、多くの質問やコメントが寄せられた。

同国は伝統的に畜産業、とりわけ豚肉生産が重要な産業の一方で、政府の公式食事ガイドラインでは、健康と環境の両立を目的に、肉類の摂取を控え、全粒粉の食品、豆類、魚、野菜などを積極的に取り入れることを推奨している。2008年に発足した官民連携による全粒穀物推進プログラムにより、国民の全粒穀物の摂取量は同プログラム発足前と比べ、2019年時点で2.3倍となった。また、古くからパンや乳製品を中心とした発酵文化が根付いているが、近年ではみそやしょうゆの国内製造や、こうじを用いた実験的な料理など、新たな取り組みも広がっており、今後、和食とのシナジーも期待されている。

(安岡美佳)

(デンマーク、日本)

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