ジェトロ、バングラデシュ・ダッカにアパレル関連企業の視察ミッション派遣
(バングラデシュ、日本)
岐阜発
2025年10月29日
ジェトロは10月20~24日、アジアアパレルものづくりネットワーク
(AAP、事務局:岐阜県)と共催で、バングラデシュの首都ダッカに、AAP会員のアパレル関連企業・団体の関係者約30人で構成する海外投資先視察ミッションを派遣した。AAPは、アパレル業界の「チャイナプラスワン」への進出最適地の視察をするために、2011年に設立し、これまでミャンマーやスリランカ、インドなどへの視察実績がある。
バングラデシュは輸出額の8割以上を縫製品が占めており、WTOが発表した2024年の「世界貿易統計」
によると、同国は中国に次いで世界第2位の衣料品輸出シェアを誇るなど、縫製業が盛んだ。同国内では400万人以上が縫製工場で働いているとされ、豊富な労働資源と人件費の安さから、生産移管先として注目を集めている。ミッションでは、日系を含む現地アパレル関連企業7社を訪問したほか、国内8カ所の輸出加工区(EPZ)のうち、ダッカ近郊のアダムジーEPZで投資環境についての説明を受けた。
現地の縫製工場を視察する視察ミッション(ジェトロ撮影)
バングラデシュ縫製品輸出協会(BGMEA)への訪問では、マフムード・ハサン・カーン会長ら主要幹部と、両国間の協業の発展に向けた議論を行った。日本側から「BGMEAに日本企業の窓口となるデスクを作ってもらえないか」という要望を出し、BGMEAは「前向きに検討する。日本企業のビジネス展開を具体的に示してほしい」と回答した。カーン会長は「今後、ジャパンフェスを開くことも検討している。AAPとも一緒に何かできたらうれしい」と述べた。
BGMEAとの意見交換(ジェトロ撮影)
今回のミッション団長で、AAP代表理事を務めるサンテイの常川雅通社長は「自身は5年ぶりのバングラデシュ訪問となったが、品質の向上と人々の生き生きした姿が印象的だった。視察した工場は大ロットの受注で運営しているところが多かったので、高品質・小ロットで生産できる工場を見つけられると、投資先としてさらに希望が見いだせるのではないか」と語った。他の参加者からは、「想像以上に生産性、品質が高くて、衝撃的だった」「今回視察したどの工場でも、管理と教育が徹底されていると感じた」といった声が聞かれた。
アパレル業界では「チャイナプラスワン」として一大産地だったミャンマーで政変などもあり、サプライチェーン見直しが喫緊の課題となっている。今回のミッションで、バングラデシュの豊富な労働力と、充実した生産体制に興味を引かれる参加者も多く、投資先として検討する有意義な機会となった。
(小笹紘大)
(バングラデシュ、日本)
ビジネス短信 d0864629d1118517




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