ペガトロン、米国テキサスにAIサーバーの製造拠点を設置
(台湾、米国)
調査部中国北アジア課
2025年10月17日
台湾の大手電子機器受託製造(EMS)企業であるペガトロン(和碩聯合科技)は10月7日、米国テキサス州の「Blue Springs Business Park」にある工場および土地を、総額3,072万ドルで取得したと発表した。10月8日付の台湾現地紙「工商時報」によると、今後は同工場で主にサーバー製品と車載関連製品の製造が行われるとみられている。
台湾では、EMS世界最大手の鴻海科技集団をはじめ、今回のペガトロン、インベンテック(英業達)、クアンタ・コンピュータ(広達電脳)、ウィストロン(緯創資通)、コンパル(仁宝電脳)の6社が「6大EMS」と称されている。EMSの主要生産品目は、従来パソコン(PC)やスマートフォン、サーバーだったが、近年の人工知能(AI)需要の高まりを受け、米国などからのAIサーバーの受注が好調に推移している。加えて、米国の関税政策や地政学的リスクへの対応も背景に、各社は相次いで米国へのAIサーバー関連投資の増強を発表している(2025年5月12日記事参照)。
ペガトロンは、2025年3月21日に米国カリフォルニア州に新たなオフィスの開設を、6月13日には8,500万ドルを投じて米国に全額出資の子会社設立を発表していたが、これまで製造拠点は有していなかった。今回の発表により、「6大EMS」全社が米国に製造拠点を構えたかたちとなる。うち、コンパルを除く5社が、テキサス州またはカリフォルニア州に製造拠点を設けている。
台湾の資訊工業策進会産業情報研究所(MIC)によると、AIサーバーの製造プロセス別の拠点配置について、米国では、完成品組み立ておよびテスト工程、複数台サーバーとラック配置の生産工程が中心となっている。一方で、マザーボードの製造と実装は、台湾や東南アジアに集中しており、一部ではメキシコなどにも移転しているという。
(富永笑美子)
(台湾、米国)
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