ジェトロ、鳥取県でインド食品バイヤーの商談会を実施

(日本、インド)

鳥取発

2025年10月06日

ジェトロは鳥取県と協働して、インドで日本食品を扱うバイヤー2社を鳥取へ招聘(しょうへい)し、92526日に商談会を実施した。鳥取県企業15社が、約20件の商談を行った。鳥取県は、人口が大きく、近年、所得水準が向上しているインド市場に注目を寄せており、県内企業の新規市場への販路拡大を目的としてイベントを開催した。

招聘したバイヤーはそれぞれ、インドの首都ニューデリー、西部ムンバイに本社を構えており、インド全土の高級レストランやホテルなどに輸入食品を卸している。両社とも冷蔵、冷凍による輸送に強みがあり、水産品・水産加工品を中心に新規で取り扱う日本食品を求めて鳥取県を来訪した。

バイヤーの2人は925日に、早朝から鳥取県が全国の水揚げ日本一を誇る紅ズワイガニなどの競りを見学し、鳥取県の水産市場について理解を深めた。併せて、県西部・中部の水産事業者を訪問して工場見学および商談が実施され、工場を視察して、製造工程や優れた品質管理を見たバイヤーは、商品の味も含めてインド市場における可能性が十分にあるとの考えを示した。

写真 競り見学の様子(ジェトロ撮影)

競り見学の様子(ジェトロ撮影)

26日は、倉吉市の会場で個別に商談会を実施した。水産品・水産加工品に限らず、調味料類や茶、麺類やその他加工食品など多岐にわたる食品企業との商談が行われた。商談をした企業からは、「インドの商圏など具体的な話を聞け、弊社商品へのニーズがあることがわかった」「インドの配送方法や食品表示に関して勉強になった」とのコメントがあった。

バイヤーからは、「まずはサンプルとして少量をインドへ輸入し、レストランやホテルのシェフなどへの提案を通して、鳥取県の食品の需要を探っていきたい」「インドは国土が広く、人口も多いため、本格的に輸入することになればフルコンテナでの直接取引を行いたい」といった前向きな声も聞かれた。一方で、県の参加企業からは継続的にフルコンテナで輸出するための物量を生産することは難しいとの声もあり、中長期的な視点で企業の生産力を向上していく必要があるなどの課題も確認された。

写真 商談時の様子(ジェトロ撮影)

商談時の様子(ジェトロ撮影)

鳥取県の担当者は、「これからも確実に伸びていくインド市場に初めてアプローチすることができた。輸入規制が厳しいイメージもあるが、取引先を選べば県産品へのニーズがあることもわかった。人口も多いため、一つでも取引が成立すれば県産品食材の輸出が伸びていくと思う」と述べ、本バイヤー招聘が鳥取県産品のインド向け輸出の足掛かりになることが期待される。

(角岸右京)

(日本、インド)

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