フィリピンEV市場が伸長、2025年の登録台数は3万5,000台を見込む

(フィリピン)

マニラ発

2025年10月30日

フィリピンで電気自動車(EV)の普及促進を目的とする「第13回フィリピン電気自動車サミット」が10月23~25日、マニラ首都圏パサイ市のSMXコンベンションセンターで開催された。

フィリピン電気自動車連盟(EVAP)のエドモンド・アラガ会長は開会式で、2025年1~7月のEV登録台数が2万9,715台に達し、2024年通年の約2万4,000台を既に上回ったと発表した。2025年末には3万5,000台に達する見通しを示した。エネルギー省(DOE)エネルギー利用管理局ディレクターのパトリック・アキノ氏も、2025年はフィリピンでのEV普及の面で記録的な年になるとの見方を示した。

DOEによると、これまでに1,037車種のEV(注)が登録され、186の充電施設運営事業者が認定されているほか、1,110カ所の充電施設が整備されている(8月時点)。これらの数字は政府の今後の支援策などにより、さらに増加していくとの前向きな見方を示している。

政府は2022年4月にEV産業育成法(EVIDA、共和国法第11697号)を施行し、EVの利用促進を支援してきた(2022年5月11日記事参照)。具体的には、EV所有者にはEVIDA施行後の8年間、コーディング規制(ナンバープレートによる車両通行規制)からの除外や、車両登録料の割り引き、優先的駐車スペースといったインセンティブを提供している。また、EV産業への投資を奨励するため、EVメーカーには法人所得税の減税と一時的なゼロ関税を適用している。

EVAPのアラガ会長は、業界関係者の間では2028年までに全土で約7,300カ所の充電施設を設置し、2040年には2万400カ所にすることを目標としているとした。また、目標達成に向け、公共部門と民間部門に対し、充電施設の普及を加速させるために一層の努力を促していく必要があるとの認識を示した。加えて、EV登録台数が毎年着実に増加している中で、より多くのフィリピン人がEV移行による経済的・環境的恩恵を実感するためにも、充電施設数の普及も必要だとした。

(注)DOEによるEVの定義は、「少なくとも1つの電気駆動装置を備えた車両」のことで、四輪だけでなく二輪なども含む。

(中村和生)

(フィリピン)

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