ドイツパビリオンが博覧会国際事務局のサステナビリティアワードを受賞

(ドイツ、日本)

調査部国際経済課

2025年10月27日

フランス・パリに本部を置く博覧会国際事務局(BIE)は1012日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の各パビリオンに対する表彰を発表した。「サステナビリティアワード」をドイツパビリオンが受賞した(注1)。サステナビリティアワードは、持続可能性のテーマを内容面と実践面の両方で模範的に取り入れたパビリオンを表彰するもので、ドイツはタイプA(敷地渡し方式)のパビリオンとして受賞した。他のタイプのパビリオンでは、ルクセンブルク、ヨルダン、赤道ギニアが選ばれた。

1013日に閉幕した大阪・関西万博は、世界のさまざまな文化について経験できると同時に、世界各国・地域の「未来の技術」に触れられる場でもあった。中でも、ドイツパビリオンは、展示内容を「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に特化したという点でユニークだった。

ドイツパビリオン広報副部長のヤナ・ゾル氏によると、パビリオンのコンセプトとして建築、展示内容、プログラムのすべてにおいて、「循環型社会の共創」に関するメッセージを打ち出すことに焦点を当てた(注2)。文化的な発信は、パビリオン併設のステージで実施したという。

ドイツパビリオンでは、循環型建築、都市農業、水素技術、循環型ファッションが展示された。パビリオン建築にも、循環型経済を実践する建材が使用された。パビリオンの外壁には、ヘンプ(麻)ボードや欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構の「フラウンホーファー環境・安全・エネルギー技術研究所」による最新の研究成果であるキノコ菌糸体パネル(注3)など、生分解性のある素材が使用された。

写真 麻を使用した建材(左)、キノコ菌糸体を使用した建材(右)(ジェトロ撮影)

麻を使用した建材(左)、キノコ菌糸体を使用した建材(右)(ジェトロ撮影)

写真 麻やキノコ菌糸体を使用したパネルで作られたパビリオン外壁(ジェトロ撮影)

麻やキノコ菌糸体を使用したパネルで作られたパビリオン外壁(ジェトロ撮影)

カーペットには、廃布や魚網、ペットボトルなどから作られたリサイクル糸製カーペットが使用された。循環型ファッションの展示では、端材を利用した生地、犬の抜け毛を利用した生地、キノコから作られたレザー生地などを展示した。

写真 循環型ファッション生地に関する展示(ジェトロ撮影)

循環型ファッション生地に関する展示(ジェトロ撮影)

同パビリオンによると、「今回の万博では、ドイツで培われたサステナブルな技術を、実際の生活を想定し試す場とした。大阪で新たな素材を使用してみた結果を開発者・企業にフィードバックする」という。

(注1)2025年10月12日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づく。

(注2)2025年9月22日取材に基づく。

(注3)同素材の使用に関心がある企業は、同研究所ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(板谷幸歩)

(ドイツ、日本)

ビジネス短信 c9364e439af20ec5