PIFを含むコンソーシアムが米国ゲーム開発会社エレクトロニックアーツを買収へ

(サウジアラビア、米国)

リヤド発

2025年10月03日

米国ゲーム開発会社のエレクトロニックアーツ(注、Electronic Arts、以下、EA)は9月29日、サウジアラビア公共投資基金(PIF)、米系投資会社のSilver Lake、同Affinity Partnersの3社で形成する投資家コンソーシアムによるEA買収について、正式契約を締結したことを発表した(9月29日付Electronic Artsプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。本件は規制当局や株主の承認などを満たすことを条件に、2027年第1四半期に完了する予定だ。

買収金額は、報道前の2025年9月25日の株価終値に、25%のプレミアムを乗せた1株当たり210ドルに設定される。コンソーシアムはEAの株式100%取得を目指し、総額550億ドルの買収額となる。買収資金は、現金およびPIFが既に保有する株式9.9%の合計360億ドル、JPモルガン・チェースによる200億ドルの借り入れ(債務)による資金調達(デット・ファイナンス)を通じて賄われる(9月30日付ロイター)。スポンサー主導による非公開化取引としては史上最大規模となる。

本件発表に際し、PIFのトゥルキ・アルノワイザー副総裁兼国際投資責任者は、「PIFは世界のゲームおよびeスポーツ分野で独自の地位を築いており、当パートナーシップはEAの長期的な成長をさらに促進するとともに、業界における世界規模のイノベーションを促進することに貢献するだろう」と語っている。

サウジアラビアは「国家ゲームとEスポーツ戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に基づき、総額380億ドルの投資をてこにゲームとeスポーツの世界的ハブになることを目指している。ジェトロが2025年3月に公開した「MENAゲーム市場環境分析PDFファイル(2.9MB)」によれば、総額380億ドルのうち、ゲーム会社のマイノリティ株式取得に187億ドル、大手ゲームパブリッシャー買収に133億ドル、パートナーシップ推進に53億ドル、スタートアップ支援に5億ドルの予算を設けている。特に、大手ゲームパブリッシャー買収を顕著に進めており、2023年にはPIF傘下のSavvy Games Groupが米国のScopelyを49億ドルで買収し、2025年にはScopelyが米国のNianticのゲーム事業を35億ドルで買収している。

(注)サッカーゲーム「EA Sports FC(旧FIFA)」やバトルロイヤルゲーム「Apex Legends」など、世界タイトルを複数保有している。

(井村文哉)

(サウジアラビア、米国)

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