魚の培養脂肪のインパクファットが日本進出
(シンガポール、日本)
シンガポール発
2025年10月03日
細胞培養による魚脂肪の開発を手掛けるシンガポール発スタートアップ、インパクファット(ImpacFat)は10月1日、東京に拠点を設立すること発表した。同社がシンガポール国外に拠点を設立するのは初めて。
インパクファットは、科学技術研究庁(Aスター)傘下の分子細胞生物学研究所(IMBB)の主任研究員で、脂肪由来の幹細胞の研究を専門とする杉井重紀氏が2022年に創業した(2022年5月26日記事参照)。細胞培養した魚の脂肪を、食品やサプリメント、化粧品用の機能性原料として開発。魚の脂肪に含まれるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)が、健康維持、美容などに効果があるとされており、当面はスキンケア商品の開発に取り組み、2026年の商用化を目指す。
同社は、JR東日本が開発する高輪ゲートウェイシティ内の「Link Scholar’s Hub(LiSH)」に、オフィス兼ラボを設立する。同ラボを拠点に、日本の研究機関や企業、政府機関と連携して、細胞培養バイオテクノロジーの社会実装を加速させる方針だ。
東洋製罐GHDなどから資金調達
また、インパクファットは、東洋製罐グループホールディングス(GHD)(本社:東京都品川区)、リバネス(同東京都新宿区)傘下の144ベンチャーズ(本社:シンガポール)と、バイオ医薬品などの開発製造受託(CDMO)会社エスコ・アスター(本社:シンガポール)のリン・シャンラン最高経営責任者(CEO)からシードラウンドの資金を調達した(投資額非公表)。東洋製罐GHDが細胞培養の開発に取り組むシンガポールのスタートアップに投資するのは、シオック・ミーツ(現在はウマミ・バイオワークス)に次いで2件目となる。
杉井氏は10月2日、ジェトロとの書面インタビューで、「各分野に強みのあるパートナーと組むことによって、インパクファットの研究開発活動がさらに加速し、健康に良い魚脂肪が世に広まることを期待する」と抱負を述べた。
(本田智津絵)
(シンガポール、日本)
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