エネルギー省、廃棄物発電事業を対象とした特別入札の実施を発表

(フィリピン)

マニラ発

2025年10月27日

フィリピン・エネルギー省(DOE)は10月9日、マニラ首都圏と高度都市化地域(HUCs、注1)を対象に、廃棄物を利用した発電事業向けの特別グリーンエネルギー入札(GEA制度、注2)を実施すると発表した。入札実施は2026年1月を予定しており、2027年内(1月1日~12月31日)の事業完了を目指す。なお、入札条件などの公表は2025年10月中の予定。

フィリピン国家固形廃棄物管理委員会(NSWMC)によると、2024年のマニラ首都圏とHUCsにおける固形廃棄物量は推定612万トンに及び、設備容量は最大で33万5,000キロワット(kW)に相当する(注3)。本入札に続き、バイオマスおよび廃棄物発電(WTE)技術を対象とした次回の入札は2026年第2四半期をめどに実施予定で、全国各地のプロジェクトが対象となる。

DOEによると、WTEプロジェクトの実施は、次世代再生可能エネルギー技術として、固形廃棄物の管理、洪水被害の軽減、そしてクリーンエネルギーの供給を目的とする国家戦略の一環として位置づけられている。

この取り組みは、「フィリピン・エネルギー計画(PEP)2023-2050外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」および、再生可能エネルギーの供給比率を2030年までに35%、2040年までに50%へと引き上げる政府目標にも整合している。WTEプロジェクトがGEA制度に組み込まれたことで、DOEはエネルギー安全保障、環境保護、民間セクターの参画を図りながら、持続可能なクリーンエネルギーへの移行を一層推進する方針だ。

(注1)高度都市化地域(HUCs)は1991年地方自治法452条に基づき、20万人以上の住民かつ地方自治体の年間収入が5,000万ペソ(約1億3,000万円、1ペソ=約2.6円)以上の地域のこと。フィリピン全土で33都市が該当する。

(注2)Green Energy Auctionの略。フィリピン・エネルギー省が2021年に導入した、再生可能エネルギーの普及を目的とした事業者選定のための入札制度のこと。

(注3)世界銀行によると、2022年のフィリピンにおける1人あたり年間電力消費量は約885キロワット時(kWh)だった。

(杉山咲)

(フィリピン)

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