カメルーン大統領選、公式結果の発表前に混乱
(カメルーン)
アビジャン発
2025年10月22日
カメルーンで10月12日、大統領選挙が実施された。公式結果の発表を前に、政治的緊張が高まっている。現職のポール・ビヤ大統領(92歳)は43年間にわたって政権を維持しており、2008年の憲法改正によって再選回数の制限がなくなったため、今回で8期目の続投を目指している。1982年から政権を握るビヤ氏は、世界で最も高齢、かつ長期政権を維持する現職大統領の1人で、再選されれば任期終了時には99歳となる。
主要野党候補のモーリス・カムト氏は、新独立民主主義アフリカ連合(MANIDEM)の推薦を受けて立候補したが、同連合からは別の候補者も立候補を届け出ていた。この重複申請を理由に、選挙管理委員会(ELECAM)はカムト氏を除外し、憲法評議会は8月5日にその決定を最終的に支持した(「RFI」8月5日報道)。これに対して市民の抗議活動が発生し、憲法評議会周辺は警察の厳重な警備で逮捕者も出ていた。国営テレビCRTVの報道によると、既に5件の異議申し立てが憲法評議会に提出されており、選挙の無効や不正の指摘が相次いでいる。
一方、カメルーン国民救済戦線(FSNC)の候補者イッサ・チロマ・バカリ氏は自らの勝利を主張しているが、異議申し立てには加わっていない。その理由について、チロマ氏の選挙対策本部長のクリス・マネング氏は「憲法評議会が不正にまみれた開票記録に基づいて判断するため、ゆがめられた手続きに加わることを拒否した」と説明し、異議申し立ての制度自体を否定している(「ルモンド」10月16日報道)。
一方、政権側はチロマ氏の勝利宣言を「でっち上げ」と非難し、選挙結果を発表できるのは憲法評議会のみと強調している。現地メディアの報道によると、カメルーン最大の経済都市ドゥアラやバフサムなどでは、チロマ氏の支持者と治安部隊の間で衝突が起こり、14人が拘束されたもようだ。西部のドゥシャンでは、選挙管理委員会の支部周辺で火災も報告されている。
公式結果の発表は10月26日までに行われる見通しだが、選挙後の混乱と不信感が広がる中、カメルーンの民主主義の行方が注目されている。
(安藤佳耶)
(カメルーン)
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