第3四半期のGDP成長率は前年同期比2.9%、MASは金融政策を維持

(シンガポール)

シンガポール発

2025年10月17日

シンガポール貿易産業省(MTI)は10月14日、2025年第3四半期(7~9月)のGDP成長率が速報値(注1)で前年同期比2.9%だったと発表した。第2四半期の4.5%を下回った(MTIプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

2025年第3四半期の成長率を業種別にみると、製造業は前年同期比で横ばい(0.0%)だった。バイオメディカル製造業と一般製造業で生産量が減少した一方、その他の製造業で増加がみられたものの、全体として成長の足かせとなった。建設業は3.1%増で、公共部門・民間部門の両方で建設生産量が増加したことが成長を支えた。

サービス業では、卸売・小売業、輸送・倉庫業の部門が2.5%のプラス成長となった。情報通信・金融・保険・専門サービス部門は4.4%増だった。部門内のすべてのセクターがプラスで、特にIT・情報サービス分野が成長を牽引した。宿泊業や飲食業を含むその他のサービス業は、海外からの来訪者数の増加を背景に、4.1%の成長となった。

なお、第3四半期のセクター別の実績に加え、2025年通年のGDP成長率予測値および2026年の予測値は11月に発表される予定。

MASは金融政策を維持

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は10月14日、これまでの金融政策を維持すると発表した(MASプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2025年1月と4月に2回連続で金融緩和を実施した後、7月には政策を据え置いており、今回で2回連続の政策維持となる。

MASは政策金利を設定せず、シンガポール・ドル(Sドル)の名目実効為替レート(NEER)の誘導目標(政策バンド)を定める独自の金融政策を採用している。

今回の政策維持の背景には、シンガポールの経済成長が予測を上回っていること、需給ギャップが2025年はプラスを維持する見込みであることがある。MASは、2026年には需給ギャップが0%程度に収束すると見込んでいる。

MASコアインフレーション指数(MASコア、注2)は、2025年7~8月に前年同期比0.4%となり、第2四半期の同0.6%から低下した。MASは、MASコアが短期的に底を打ち、一時的なインフレ抑制要因が薄れるにつれて徐々に上昇すると予測している。2025年の年間平均は約0.5%、2026年には0.5~1.5%の上昇率になる見通し。

(注1)速報値は主に2025年7~8月の統計に基づく。

(注2)消費者物価指数(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数。

(中島諒士)

(シンガポール)

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