成都市、エンボディドAI産業革新発展の行動プラン発表、国産スマートチップ製造を加速

(中国)

成都発

2025年10月29日

中国成都市の経済信息化局の新経済発展委員会は9月30日、「成都市のエンボディドAI(注1)産業革新発展の行動プラン(2025~2027年)」を発表した。同プランは、2027年末までに成都市のエンボディドAI(人工知能)産業規模を500億元(約1兆500億円、1元=約21円)超に拡大し、国家級「専精特新の小巨人」(注2)エンボディドAI企業50社、全国AIトップ100企業にランクインする企業10社を育成し、新世代スマート端末や、AIエージェントなどの普及率を70%超に引き上げることを目指す。

同プランでは、成都市の優位性を踏まえ、国産スマートチップ、データ伝送、スマートオリジナル製品、エンボディドAIによる安全保護の4分野を重点的に取り組むといった方針を示した。そのうち国産スマートチップについては、BYD半導体、成都海光、Moore Threads、沐曦などの集積回路(IC)関連企業が400社以上集積している。これらの企業の成長により、2024年には売上高が前年比18%増の830億元に達成し、過去3年間にわたって毎年10%以上の高い成長率を維持している(「成都日報」10月12日)。

また、同プランでは、応用シーンの拡大に向けて、医薬・健康、低空経済、都市管理、文化・観光、商業・小売り、教育の6分野で、エンボディドAI推進に関する具体的な取り組みを示している。こうした取り組みを保障するため、人材育成体制の整備や、金融支援の仕組み構築、特化型産業パークの形成、重点企業の集積促進、地域・分野横断の協力体制の構築、産業間の連携メカニズムの強化など6つの側面から、エンボディドAI産業のエコシステム構築を進める。なお、金融支援の仕組みの構築では、国有プラットフォーム企業を基盤とし、未来産業基金やAI・ロボット基金などを有効に活用する。さらに、金融機関によるエンボディドAI分野向けの新たな金融商品の開発を促進するとした。

(注1)物体を操作したり、人とコミュニケーションを取って物理的な作業を支援したりする身体性を持つエージェントベースのAIシステム。

(注2)工業情報化部が認定したもので、専門性を有し、精密な技術力を持ち、差別化され、革新的な有力中小企業。

(曾小桐)

(中国)

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