9月の物価上昇率が前月比2.1%で加速
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年10月29日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は10月14日、消費者物価指数(CPI)の9月の上昇率が全国平均で前月比2.1%だったと発表した。2%を上回ったのは2025年4月以来だ(添付資料図参照)。対ドル公式為替レートの変動や、国会議員中間選挙を前に政治経済の先行き不透明感が増しており、CPI上昇率が2%台に加速することは予測されていた。ルイス・カプート経済相は同日、X(旧Twitter)を通じて「政治的な混乱によって金融市場に変動が生じたにもかかわらず、インフレ率は前月と同水準を維持した。これは、財政規律を基盤としたマクロ経済政策や、通貨発行の抑制、中央銀行(BCRA)の資本再構築という堅固な政策運営によるもの」と説明した。CPIは前年同月比(年率)では31.8%で、17カ月連続で減速した。2025年1~9月の累計では22.0%となった。
9月の前月比の上昇率を項目別にみると、季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は1.9%で、前月の2.0%からわずかに減速した。他方、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは2.2%で、前月のマイナス0.8%から大きく加速した。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは2.6%で、前月の2.7%から減速したものの、高い上昇率が続いた。
前月比の上昇率を費目別に見ると、平均上昇率を上回ったのは住宅・光熱・その他燃料と教育がそれぞれ3.1%、交通が3.0%などだ(添付資料表1参照)。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は1.9%だった。
ジェトロが独自に調査した首都ブエノスアイレスの10月22日時点の品目別の物価をみると、数カ月にわたって価格が安定していた品目で、10月に入って急激に価格が上昇したものが見られた(添付資料表2参照)。25日付現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)は、10月のCPI上昇率は2.0~3.0%と加速するとの現地エコノミストら見通しを伝えたが、26日に実施された国会議員中間選挙は、予想に反して与党「自由前進(LLA)」が全国的な勝利を収めたことで、物価上昇が再び減速するか注目が集まる。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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