ウクライナとルーマニア結ぶ新たな国際列車が運行開始

(ウクライナ、ルーマニア、オーストリア、スロバキア、モルドバ)

キーウ発

2025年10月15日

ウクライナ地域社会・領土開発省は10月10日、首都キーウとルーマニアの首都ブカレストを結ぶ新たな国際列車の初便が定刻どおりに出発したと発表した。この新路線は、両都市を約24時間で結び、ウクライナ中西部のビンニツァ、ルーマニア東部のヤシ経由で、毎日運行する。列車は途中、モルドバ領内を通過する。

ウクイライナのアンドリー・シビハ外相は新路線の開通について、「ウクライナ、モルドバ、ルーマニアの間の特別なパートナーシップを強化する上で重要な一歩だ」と述べ、3カ国間の地域連結性や経済的結びつきが一層深まることへの期待を示した。

この新路線の往路は、キーウ旅客駅を午前6時30分に出発し、翌日午前6時47分にブカレスト北駅に到着する。復路は、ブカレスト北駅を午後7時10分に出発し、翌日午後7時34分にキーウ旅客駅に到着する。キーウ~ブカレスト間の片道チケット(4人コンパートメントの1席)の価格は約4,000フリブニャ(約1万4,400円、1フリブニャ=約3.6円)で、国営ウクライナ鉄道のウェブサイトやアプリで購入できる。

ウクライナと欧州間の鉄道による接続は進んでいる。地域社会・領土開発省は9月5日、ウクライナ西部のウジホロドとチョープ(注)を結ぶ欧州標準軌(軌間1,435ミリ)による新路線22キロが開通したことを発表した。開通により、これまでチョープ発だった欧州との国際列車がウジホロドまで延伸となり、9月12日からウジホロド発、オーストリアのウィーン行き(ブダペスト経由)と、ウジホロド発、スロバキアのブラチスラバ行きの直通列車が運行を開始した。

ウクライナの鉄道網は旧ソ連諸国で一般的な軌間1,520ミリが使用されており、欧州標準軌のレールが大規模に敷設されるのは、同国の独立以降初めてだ。建設は約1年で完了し、総工費は13億フリブニャ。「コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティー」プログラムに基づくEUの補助金と欧州投資銀行からの融資により賄われた。同省は今後の欧州標準軌のレール敷設計画として、ウジホロドからウクライナ西部の都市リビウに至る区間と、ポーランド方面からリビウ近郊に至る区間の2路線を挙げ、ウクライナの鉄道網を欧州のネットワークにさらに統合していく方針を示している。

なお、ウクライナ全土に対しては、日本の外務省はレベル4の退避勧告を発令している。同省の海外安全ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ウクライナ復興に寄与する企業の取り組みとして真にやむを得ない事情でキーウに渡航する必要がある場合には、必要な安全措置や届け出などをする必要がある。

(注)ウジホロドとチョープはいずれもウクライナ西部ザカルパッチャ州の都市。前者は州都としてスロバキアとの国境に隣接し、後者はスロバキアとハンガリーとの国境近くに位置する。

(坂口良平)

(ウクライナ、ルーマニア、オーストリア、スロバキア、モルドバ)

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