シンガポール政府、関税の影響受ける企業を支援

(シンガポール)

シンガポール発

2025年10月17日

シンガポール企業庁(エンタープライズ・シンガポール)は10月7日、関税措置の影響を受ける地元企業向けに、事業運営とサプライチェーンの強靭(きょうじん)化を支援する事業適応助成金(Business Adaptation Grant:BizAdapt)の詳細を発表した(エンタープライス・シンガポール発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この助成金については、ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相が7月に導入の計画を発表していた(2025年7月15日記事参照)。

BizAdaptは、市場拡大、事業変革、資金調達で企業を支援する既存の制度(企業開発助成金、市場準備支援助成金、企業融資制度など)を補完する助成金だ。対象となる同国の中小企業(SME)に対しては、支援対象となる活用費用の最大50%、中小企業以外に対しては、最大30%、一企業当たり上限10万シンガポール・ドル(約1,160万円、Sドル、1Sドル=約116円)まで助成する。同助成金は、企業が新しい関税環境に対応するための活動を2027年10月6日までの2年間支援するものだ。

助成金を受けられる要件は、シンガポールで企業登録され事業活動を行い、シンガポール人および、または永住者が直接的もしくは間接的に30%以上の株式を保有する企業で、海外市場への輸出および、または現地での事業展開を行っており、関税の影響を受けていること。

BizAdaptの支援対象となる活動(注1)は、第三者によるコンサルティングサービスとビジネス再構築活動だ。第三者によるコンサルティングサービスは具体的に、(a)自由貿易協定(FTA)・貿易コンプライアンス、(b)法務・契約関連事項、(c)サプライチェーン最適化・市場多様化に関するもの。これらの活動に対する助成金を受けるには、企業が海外市場への輸出実績、または現地事業展開を有し、かつ関税の影響を受けていることを証明する必要がある。また、BizAdaptのホワイトリスト掲載パートナー(専門知識と実績を有し、支援活動を遂行できるパートナー)のいずれかと契約する必要もある。ビジネス再構築活動(注2)は、物流や在庫保有に関連する費用が対象となる。該当する企業は自らが選択したベンダーを起用することができる。

BizAdapt申請は、Business Grants Portal外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて行うことができる。(注3)

(注1)助成金支援対象となる活動の詳細については、既出のシンガポール企業庁発表資料の付属資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注2)ビジネス再構築支援の対象となるか不明な企業は、助成金申請前にSBF(シンガポールビジネス連盟)傘下のCenter for the Future of Trade & Investment(CFOTI)に確認を。

(注3)助成金申請プロセスに関する問い合わせや、詳細情報が必要な企業は、EnterpriseSG's website外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されているBizAdaptの詳細を参照するか、SME Centres外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのビジネスアドバイザーに相談することが可能。

(島田幸一郎)

(シンガポール)

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