ASEAN産業界、「サプライチェーン評議会」を設立
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
ジャカルタ発
2025年10月10日
マレーシア製造業者連盟(FMM)とASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)は9月23日、ASEAN域内の主要産業団体を集めた会合を開いた。同会合にはASEAN各国の商工会議所や、マレーシア半導体協会(MSIA)、ASEAN自動車連盟(AFM)などASEANのサプライチェーンに深く関わる業界団体が参加し、「ASEANサプライチェーン評議会(ASCC)」の設立を宣言した。ASCCはASEAN産業界で構成し、(1)ASEAN域内貿易の加速化、(2)国境を超えた協力の推進、(3)デジタルと持続可能なサプライチェーンに関する取り組みの加速を目的とする。恒久的な事務局はASEAN-BACが務める。
FMMのソー・ティエン・ライ会長は、ASEAN域内貿易が総貿易の23%にとどまっていると指摘し、「世界的な混乱に直面する中で、ASEANが競争力を維持するためには、域内連携の強化と迅速な行動が必要だ」と述べた。また、ASEAN-BACのナジール・ラザク議長は「ASEANに求めることは補助金や新たな支援ではなく、既存コミットメントの着実な履行だ」と強調した。
同評議会の優先取り組み事項として、「ASEAN地域のサプライチェーン強靱(きょうじん)化のためのダッシュボード」の開発や、中小企業の調達活動を促進する「ASEAN全域のサプライヤーディレクトリーの作成」「ASEAN域内の専門人材・技術人材の移動規制を緩和の推進」を挙げた。さらには、ASCCの下に(1)貿易円滑化と域内調達、(2)デジタル化とデータ共有、(3)ビジネス関係者の移動と持続可能なサプライチェーンの3つの作業部会を設置するとしている。
会合では、インドネシアの元商業相で、現在は同国大統領特使(国際貿易・多国間協力担当)、ASEAN地経学タスクフォースの共同議長を務めるマリ・パンゲストゥ氏が基調講演を行い、ASEANの現在のサプライチェーン上の課題と、それに対処するために同タスクフォースで議論されている内容を紹介した。また、ジェトロ・ジャカルタ事務所の大滝泰史シニアディレクターは、ASEANプラス3(日本、中国、韓国)の産業界で構成される東アジアビジネス評議会(EABC)と共同で実施したサプライチェーン強靱化に関するアンケート調査結果を紹介した。
会合参加者による集合写真(FMM提供)
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
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