米抹茶市場の急成長で価格が高騰、カフェ経営者は抹茶の確保が課題

(米国)

ロサンゼルス発

2025年10月27日

米国では、抹茶の価格が高騰している。その要因は日本の緑茶収穫量の減少や米国への輸入関税15%の影響とみられる。

カリフォルニア州ロサンゼルスのカフェの一部では、ドリンク1杯あたりの抹茶使用量を3倍に増やすといった飲み方も供給を逼迫することになり、抹茶の争奪戦になっているという(ロサンゼルスタイムス10月22日)。

日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)の「2024年度日本茶プロモーション実施報告書PDFファイル(1.1MB)」によると、2024年の米国向け日本茶輸出額は161億円で、2020~2024年の年平均成長率は17%と高い伸びだった。一方で、農林水産省の発表によると、生葉収穫量は外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます10万2,800トン、荒茶生産量は2万トンで、前年産に比べそれぞれ1万3,100トン(11%減)、2,300トン(10%減)減少した。要因は「主に静岡県において4月上旬から5月上旬にかけて最低気温が低い日があったことから芽の伸長が抑制された」と報告されている。

また、日本茶輸出促進協議会の報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2025年の日本茶輸出状況について「海外の抹茶ブームに国内供給が追い付かない」「令和7年(2025年)産の新茶予約の製品作りに供給量不足と価格高騰が影響」とされている。また、圃場(ほじょう)視察を名目に生葉生産者の紹介依頼が相次ぐなど、生産者と直接取引を模索するといった動きもみられる。

米国で抹茶の輸入販売を行う日系事業者によると、「2025年産の不作により、既存のお客様にも供給が間にあっていない状況にある。現在、新規のお客様はお断りしている」とし、供給不足によりビジネスへの影響が大きいという。

抹茶は世界的な抹茶ラテブーム、とソーシャルメディアでも話題になっており、スターバックスやコーヒービーンズ、ブルー・ボトル・コーヒーなどの大手カフェチェーンも抹茶を使用したドリンクメニューを展開している。このような需要の拡大により、カフェ業界では十分な抹茶の確保と価格の高騰が課題となっている。

(サチエ・ヴァメーレン) 

(米国)

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