シドニーの日本酒イベント「SakeFestival」、ジェトロがブース出展、奈良県製品をPR

(日本、オーストラリア)

奈良発

2025年10月10日

ジェトロと奈良市、奈良商工会議所は9月27~28日にシドニーで行われた日本酒イベント「SakeFestival」にブースを出展した。ブースには、奈良県企業のオーストラリアでの販路拡大を目的とし、奈良県の飲食料品企業4社と日用品企業2社(注1)が参加した。会期中は来場者への商品販売や奈良県産品のPRセミナーも開催された。

オーストラリアは、日本との時差が少なく、ビジネスでの連携が容易なことに加え、平均所得が高くて購買力が大きいことや、季節が日本と逆という点を生かし、年間を通じて安定的に需要を確保できることなどから、奈良県企業による新たな販路開拓先としての注目が高まっている。

出展者のうち、酒類や飲料の卸売業者の泉屋の辻信治氏は「出展に先駆けてオーストラリア向けの輸出を増やしており、現地の店舗での露出が増え、認知度が高まったため、会期中に昨年の4.5倍の売り上げを達成した。シドニーだけでなく、同国の他の地域への販路拡大のきっかけとなり、大変有意義だった」と語った。

また、リキュールなどを製造する奈良春日山酒造は、現地インポーターと既に取引があり、同社と連携してPRを行った。奈良春日山酒造の森一成氏は「今回は取引先と一緒に販売ができる良い機会だった。まだ現地に展開していない商品に関する来場者の反応をインポーターに見てもらい、さらに大きな取引につなげたい」と語った。

出展者の商品を試飲した来場者から、「試飲した酒はドライな味わいで、すしに合うと感じた。酒蔵の方と話をしたことで、商品への理解も深まった」と評価する声があった。

写真 奈良県企業による出展のブース(ジェトロ撮影)

奈良県企業による出展のブース(ジェトロ撮影)

会期中には、イベント来場者を対象に、奈良県の酒類や木材、大和茶をPRするセミナーも開催した。登壇した倉本酒造の倉本隆司氏は「菩提酛(ぼだいもと)」(注2)について説明し、「日本酒への感度が高まっているシドニーで興味・関心を喚起することができた」と語った。参加者からは「奈良が清酒発祥の地と言われていることを初めて知った。今度足を運んでみたい」という声が聞かれた。

写真 PRセミナーの様子(ジェトロ撮影)

PRセミナーの様子(ジェトロ撮影)

会期中は現地のディストリビューターと交流する機会もあった。奈良県産酒類を扱うHONDA Sake bar Diningの本田芳和氏は「オーストラリアの日本酒愛好家らの間で菩提酛造りの日本酒の認知が向上し、紹介される機会が増えている。奈良の酒蔵には、『菩提酛の酒造りといえば奈良』という気概を持って販促に臨んでほしい。」と語った。

(注1)泉屋、倉本酒造、スカイウッド、TaleNavi、奈良春日山酒造、吉谷木工所

(注2)清酒製造に使用される酛(もと)の一種、その酛を用いて造る酒の製法

(奥田将太)

(日本、オーストラリア)

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