ナイジェリアのダンゴテ・セメント、コートジボワールで操業開始
(コートジボワール、ナイジェリア)
アビジャン発
2025年10月24日
ナイジェリアの地場コングロマリットのダンゴテ・グループ傘下で、サブサハラ・アフリカにおけるセメント最大手のダンゴテ・セメントは10月8日、コートジボワールのアビジャンから約30キロのアタンゲ工業団地に建設した工場の操業開始を発表した。同社は、石材用、建築用、大規模プロジェクト用など4種の高品質セメントを販売する。投資総額は1,000億CFAフラン(約270億円、1CFAフラン=約0.27円)で、50ヘクタールの敷地面積を誇る工場は、年間300万トンの生産能力を備え、ナイジェリア国外では同グループ最大規模の施設だ。稼働により1,000人規模の直接・間接雇用の創出が期待される。同社は、信用供与や営業支援などを通じて小規模販売業者を支援し、全国規模の流通網を構築し、地域密着型の供給体制を整備する方針を示した。
ダンゴテ・セメント・コートジボワールのセルジュ・グボッタ社長は、同社の目的はコートジボワールの人々に、地元で生産された国際品質のセメントを競争力のある価格で提供することだと述べた。同国の若いエンジニアや技術者を対象に、現地の産業経営スキル強化のための研修プログラムを実施することも強調した。道路の整備、飲料水供給プロジェクト、医療施設への支援など、工場周辺のコミュニティへの取り組みも実施する予定だ。
一方、コートジボワールでは近年、政府の産業政策により、セメントの粉砕能力が急速に拡大している。1,000万トン未満の年間消費量に対し設備能力は2,000万トンを超え、供給過剰の構造的問題が顕在化している。「ジュヌ・アフリック」誌によると、同国のセメント産業は年間6~7%の成長産業だが、スイスのラファージュホルシム、ブルキナファソのシム・メタル傘下のシム・イボワール、モロッコ資本のシマフ、地元企業のコートジボワール・セメント会社などが活動し、すでに飽和状態だ。スレイマン・ディアラスバ商業・産業相は2025年9月29日、既存の投資の収益性を確保し、国内で生産されるセメントの品質を維持するため、投資法で定める投資優遇措置の対象からのセメント産業の除外を発表した。同措置は産業構造の多様化を促進し、過剰設備の是正を図る狙いがある。
(長屋幸一郎、橘欣子)
(コートジボワール、ナイジェリア)
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