コーラル・ノース洋上LNG鉱区の最終投資決定発表
(モザンビーク)
マプト発
2025年10月08日
イタリアのエネルギー会社大手エニは10月2日、モザンビークの首都マプトで式典を開催し、コーラル・ノース浮体式液化天然ガス生産設備(FLNG)プロジェクトの最終投資決定(FID)を発表した。式典には、エニのクラウディオ・ディスカルツィ最高経営責任者(CEO)のほか、モザンビークのダニエル・チャポ大統領らが出席した。
本プロジェクトは、エニ(出資比率50%)、中国石油天然気集団(CNPC)(20%)、モザンビーク国営炭化水素公社(ENH)(10%)、韓国ガス公社(KOGAS)(10%)、アブダビ国営石油会社(ADNOC、子会社XRGを通して参画)(10%)から成るジョイントベンチャーによって進められ、総投資額は72億ドル規模になる。
コーラル・ノースFLNGが設置されるモザンビーク北部カーボデルガード州の洋上では、2022年からエニ主導により開発されたコーラル・サウスFLNGが稼働(2022年7月5日記事参照)している。コーラル・サウスFLNGがFID発表(2017年6月)から約5年で液化天然ガス(LNG)生産を開始したのに対し、コーラル・ノースFLNGは2028年に生産開始予定と工期が短縮される見込みだ。コーラル・ノースFLNGは年間360万トンのLNG生産能力を有し、コーラル・サウスFLNGと合わせた生産量は年間700万トンを超える。設計・建設はサムスン重工業、日揮などが共同受注している。
モザンビーク政府はコーラル・ノースFLNGの操業期間を30年と見込んでおり、同FLNGからもたらされる税収は総額約230億ドルと試算している。チャポ大統領は式典で、得られた税収を農業、インフラ、教育、医療などの分野に積極的に投資していく考えを示した。
式典ではFID発表に続き、エニが約1億3,000万ドル拠出し、発電容量75メガワットのガス火力発電所をモザンビーク南部イニャンバネ州テマネに建設する計画が発表された。このプロジェクトは、モザンビーク電力公社(EDM)によって実施される(10月3日付「クラブ・オブ・モザンビーク」)。
(松永篤)
(モザンビーク)
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