米シカゴ連銀経済報告、8月後半~9月の経済活動はほとんど変化なし

(米国)

シカゴ発

2025年10月17日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が10月15日に公表した地区連銀経済報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、8月後半から9月にかけての同地域の経済活動について、報告期間中ほとんど変化がなかった(little changed)と報告した。関係者は、今後1年間は経済活動のわずかな減少を予想している。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は横ばい(flat)となったが、関係者は、今後1年間はわずかな増加が続くと見込んでいる。労働市場の状況に関する報告は業界によってまちまちだったが、多くの業界で労働市場の軟化が報告された。小売業界アナリストが年末商戦期の雇用が前年より弱まると予想する一方、製造業と建設業の複数の関係者は新規雇用を検討していると述べた。また、ある関係者は、移民取締強化への懸念の高まりが、労働力供給を低下させていると報告した。

個人消費は、控えめに(modestly)増加した。関係者は、新学期向けの買い物シーズンが好調だったほか、家電製品、コンピュータ、園芸関連への支出が大幅に増加したと報告した。新車販売は堅調で、根強い需要と電気自動車(EV)購入の際の税制優遇措置終了に伴う駆け込み需要によって押し上げられた。

企業支出、設備投資ともわずかに減少し、2026年の支出見通しも低下した。トラック輸送需要はわずかに減少したが、運賃はわずかに上昇した。小売在庫は低水準、自動車在庫は減少、製造業在庫はやや高水準だった。

製造業の活動は控えめに減少した。鉄鋼受注は全体として横ばいだった。鉄鋼生産の国内回帰(リショアリング)が一部見られたとの指摘もあった。加工金属の需要は、建設業や自動車産業向け販売の減少が他業種向け販売の増加で相殺され、総じて横ばいとなった。

2025年の地区内での農業所得の見通しは、報告期間中変化はなかった(unchanged)が、見通しの不確実性が農業経営者を不安にさせている。大豆価格は中国向け輸出の停滞などにより下落し、トウモロコシ価格は輸出量が堅調にもかかわらず下落した。関係者は、経済見通しの不透明さ、肥料価格上昇などが設備購入や修理などの設備投資を抑制していると指摘した。

個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料表参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告やビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ州、イリノイ州北部、インディアナ州北部、ウィスコンシン州南部、ミシガン州南部。

(星野香織)

(米国)

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