米ミシガン州政府、中国バッテリー大手ゴーションへの補助金を撤廃
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年10月28日
米国ミシガン州の経済開発公社(MEDC)は10月23日、中国系バッテリー大手の国軒高科(Gotion High-tech)傘下のゴーション(米国本社:カリフォルニア州)による、同州ビッグラピッズ近郊の工場建設計画に関し、2022年に承認した総額約1億7,500万ドルのうち、交付済みの約2,367万ドルの返還を求めるとともに、残額の支払いを停止すると発表した。ロイターなど複数のメディアが報じたほか、同州議会議員も自身のサイト
で公表した。
同助成金は、ミシガン州の経済開発基金であるミシガン・ストラテジック・ファンド(MSF)を通じて、2022年10月に承認されたもの。建設プロジェクトの総額は約24億ドル、雇用規模は2,350人が見込まれていた。しかし、地元自治体との訴訟問題もあって建設が中断していたことから、MSFは2025年9月17日付で、ゴーションに対し、契約履行違反通知を発出。通知書では、120日以上にわたり契約上の対象活動が実施されておらず、関連訴訟も進行しているとして、助成金支払いの即時停止、および30日以内に是正されない場合は契約の解除と交付済み金額の返済を求める旨が明記されていた。
建設に反対の立場を取っていたアン・ボリン州下院議員(共和党)は「(交付から)2年経った今、同社は建設期限を守れず、雇用創出に失敗し、ミシガン州民との約束を破った。まさにこの結果こそが、私が当初からこのプロジェクトに反対を唱えてきた理由だ」と述べた。またトム・クンス同議員(共和党)も「納税者の資金による優遇措置は、しばしば約束を果たせず、地域社会を破綻させ、公的資金を無駄にする。企業が義務を果たせなければ、雇用と投資の約束は何の意味も持たない」と語り、企業支援の是非をあらためて問う姿勢を示した。
連邦政府レベルでも、公的資金による支援を見直す動きがある。エネルギー省は10月2日、223件のエネルギー関連のプロジェクトを対象に、約75億6,000万ドルに上る支援を打ち切ると発表
。不採算性と投資収益が期待できないためだと説明した。また、バッテリーリサイクルのアセンド・エレメンツ(本社:マサチューセッツ州)などに向けた約7億ドルの助成金を取り消したことも報じられている(政治専門紙「ポリティコ」10月20日)。こうした動きに、民主党議員や消費者保護団体からは、資金援助打ち切りは違法であり政治的報復行為だ、と非難する声が聞かれる。
(大原典子)
(米国、中国)
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