1~9月の外国企業の直接投資、直近の大型案件では中国企業が存在感
(ベトナム)
ハノイ発
2025年10月17日
ベトナム外国投資庁によると、2025年1~9月の対内直接投資(認可ベース、9月30日時点、出資・株式取得を除く)は、新規・拡張の合計で4,018件(前年同期比14.2%増)、認可額は237億310万ドル(11.8%増)だった。件数・金額とも、1~6月の前年同期比と比べると伸びが鈍化した。米国の関税政策による不透明感などが影響したとみられる。しかし、直近で認可された大型案件では、中国企業による投資が目立った。
業種別にみると、件数、認可額ともに1位は製造業で、1,689件(前年同期比10.4%増)、150億357万ドル(0.1%増)だった。認可額の2位は不動産で51億7,633万ドル(45.2%増)、3位は給水・廃棄物処理で8億9,978万ドルとなった。一方、件数の2位は小売り・卸売りなどで1,188件(19.0%増)、3位はコンサルなどで408件(21.4%増)だった(添付資料表1参照)。
7~9月に認可された主な大型案件は次のとおり。
- シンガポールのLaresによる中部タインホア省の陶器製造案件(2億ドル)
- 中国の電子機器受託生産(EMS)大手ラックスシェアICT(Luxshare-ICT)による北部バクニン省のスマートフォン製造案件(3億ドル)
- 中国のハイリード・ファイバーズ(浙江海利得新材料、Hailide Fibers)による南部タイニン省での自動車産業など向けの合成繊維製造案件(拡張投資、2億ドル)
- 米国のエネルギー企業GEベルノバによる北部ハイフォン市の高性能変圧器製造案件(2億700万ドル)
- 中国のEMS大手ゴアテック(Goertek)による北部バクニン省の電子製品・部品製造案件(拡張投資、1億3,000万ドル)
- シンガポールのNexif Ratch Energy SE Asiaによる中部ザーライ省の風力発電所建設(2億1,800万ドル)
- シンガポールのメガ・テキスタイル(中国のベストパシフィック・インターナショナル傘下)による中部ゲアン省の繊維製造案件(拡張投資、3億5,000万ドル)
国・地域別の認可額は、シンガポールが52億9,427万ドル(前年同期比20.4%減)で首位だった。2位は韓国で35億6,695万ドル(40.9%増)、3位は中国で31億6,314万ドル(23.7%増)となった。日本は4位で21億2,447万ドル(20.4%増)だった。また、件数は中国が1,086件(22.3%増)で首位だった。2位のシンガポールが552件(20.8%増)、3位の韓国が543件(0.7%減)と続いた。日本は322件(5.9%増)で5位だった(添付資料表2参照)。
出資・株式取得は、件数が2,527件(前年同期比2.3%増)、認可額が48億4,004万ドル(35.0%増)となった。なお、直接投資の実行額(推計)は118億ドル(8.5%増)だった。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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