トルコ、国家循環型経済戦略・行動計画を発表
(トルコ)
イスタンブール発
2025年10月28日
トルコ環境都市気候変動省は10月18日、「国家循環型経済戦略・行動計画(2025~2028年)
」を発表した。循環型経済への移行を加速し、天然資源保護、輸入依存度の低減、国際競争力強化などを目指したもので、「循環型製品」「優先分野」「廃棄物の防止と削減」「循環型経済の拡大」「水平展開」「進捗状況のモニタリング」の6つの戦略目標を掲げている。
また、原材料の消費量と環境への影響が最も大きい7つの重点分野として、包装、電池・車両、建設・建物、電子機器・情報通信技術(ICT)、食品・バイオマス、プラスチック、繊維が定められている。今後、53の具体的な行動計画が44の機関や組織の責任の下で実行される計画となっている。ムラト・クルム環境都市気候変動相は「2053年ネットゼロエミッション目標と循環経済への移行に向け、廃棄物コストの削減などを通じて年間最大3,500億トルコ・リラ(約1兆2,600億円、1リラ=約3.6円)の経済効果の還元、10万人以上の新規雇用の創出を目指す」としている。
首都アンカラにあるハジェテペ大学経済学部で環境経済学を専門とする荒志帆美助教授は、同行動計画について「廃棄物管理と削減促進、産業副産物・廃棄物の再資源化および製品のトレーサビリティーを実現するデジタル製品パスポート(DPP)の導入など製造業が影響を受ける内容の議論がされている。同時にグリーントランスフォーメーション(GX)のための補助金なども言及されており、今後の動向を注視する必要がある」としている。同助教授は、近年、トルコの気候変動関連法制度が急速に展開していることを指摘する。具体的には、2025年1月の産業GX法採択、同年7月の気候法採択、20261月1日に発効予定の炭素国境調整メカニズム(CBAM)に基づく支払い義務、さらに2025~2026年に予定される国内排出権取引制度の試行導入などの取り組みを挙げる。また、EUは、2027年もしくは2028年1月に建物・道路輸送燃料などを対象とする新排出量取引制度(ETS2)の施行を予定しているが、トルコへの導入は時期尚早という見方もある。
(佐野充明)
(トルコ)
ビジネス短信 908725a544c7be50




閉じる
