バングラデシュで再生可能エネルギーの直接販売が可能に
(バングラデシュ)
ダッカ発
2025年10月21日
バングラデシュの電力・エネルギー・鉱物資源省は9月21日、「2025年再生可能エネルギー発電の民間参加の促進政策」を承認したとの通知を公表した。同政策は即時発効した。政府はこの通知で、独立系発電事業者(IPP)への補助金が増加して持続不可能なため、補助金を段階的に廃止するほか、効率性の向上や消費者へのサービス改善を目的に、電力分野の競争を促進すると記している。
今回の政策により、国営の電力発電公社(PDB)が独占的な買い手・売り手ではなくなり、民間企業は再生可能エネルギー発電所を設立し、顧客と価格交渉も行いながら、再生可能エネルギーを供給できるようになった。PDBもこれら発電所から電力を購入できる一方、従来のように発電量の20%の購入を保証する必要はなくなった。
同国政府は2025年6月、2030年までに電力の20%、2040年までに電力の30%を再生可能エネルギーで賄うとする「2025年再生可能エネルギー政策」を発表した。今回の政策はこれに続くものと言える。国際エネルギー機関(IEA)の2023年データによると、バングラデシュの電源構成は、天然ガス(65.8%)が最も大きく、石油(21.7%)と石炭(10.6%)がこれに次ぎ、再生可能エネルギーの太陽光が1.3%、水が0.6%と、わずかでしかない(添付資料図参照)。目標を達成するには、今後大きな政策変更が求められる。
今回の政策に関し、民間企業とその顧客は当事者間で電力価格を交渉できる一方、国営の配電事業者に支払う料金はバングラデシュエネルギー規制委員会(BERC)が決定する。電力の販売事業者が複数の顧客に供給できるようになるのに対し、産業や工場などの大口消費者は複数の販売事業者から電力を調達できるようになる。
現地シンクタンクの政策対話センター(CPD)のコンダカー・ゴラム・モアゼム研究ディレクターはメディアの取材に対し、「政府は競争を維持するため、いかなる政府保証も提供しない。他方、市場競争の有効性は、公正で迅速かつ透明性のある紛争の管理システムにかかっている。問題は、バングラデシュでそれを保証できるかだ」と述べた。また、同氏は「送電網が不十分であれば過大な負荷がかかるため、送電容量の増強には段階的に着手する必要がある」として、今後取り組むべき課題を指摘した(「デーリー・スター」紙10月14日)。
(片岡一生)
(バングラデシュ)
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