ドゥシャンベ国際投資フォーラム開催、エネルギー分野中心に投資呼びかけ
(タジキスタン)
タシケント発
2025年10月21日
ドゥシャンベ国際投資フォーラム2025が10月14~16日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで開催された。エモマリ・ラフモン大統領が開会あいさつで登壇し、フォーラムのテーマとして「グリーン投資」を掲げ、再生可能エネルギー分野などへの投資を呼びかけた。その上で、社会正義と資源の効率的な活用を通じて持続可能な経済成長を目指す方針を示した。
ラフモン大統領による開会スピーチ(ジェトロ撮影)
フォーラム期間中に複数の登壇者が、タジキスタンはアンチモンなど豊富な天然資源を有して戦略的な位置にある点を評価した一方、投資誘致には税制や規制・手続きの透明性の向上、開かれた競争環境の整備が不可欠と指摘した。
「グリーンインフラとクリーンエネルギー」セッションでは、中国建材集団武漢建材デザイン研究所の呉希穎国際マーケティングダイレクターが登壇し、水力発電が発電量の92%を占める同国では冬場に電力不足に陥りがちなため、太陽光発電の併用によって電力供給を安定させられると述べた。また、タジキスタンでのビジネスでは、資金面の保障やキャッシュフローの構築が課題となっていると指摘した。ダレル・ジュマ・エネルギー・水資源相によると、タジキスタン政府は現在、単一買い手問題(注)を含むエネルギー分野の投資環境改善に取り組んでいる。
「グリーンインフラとクリーンエネルギー」のセッション(ジェトロ撮影)
「デジタル化促進のためのICT(情報通信技術)」セッションでは、米国の宇宙開発企業スペースXのレベッカ・ハンター・ディレクターが登壇し、タジキスタンでのスターリンクの衛星通信サービス提供開始に関する同国政府との合意を発表した。これにより、国土の93%を占める山岳地帯が通信インフラ整備を困難としているタジキスタンで、インターネットアクセスの民主化とそれに伴うデジタル化が促進される見通しだ。
今回のフォーラムの成果として、初日にタジキスタン政府は総額31億2,000万ドルに上る26件の協力文書を締結、そのうち24億ドルがエネルギー分野に関するものだった。
フォーラム会場で地元企業などがブース出展(ジェトロ撮影)
(注)投資家が発電した電力の買い手が単一企業に限られる場合、適正価格の設定が阻害されたり、買い手の汚職を招いたり、支払いの規律が弱まったりする問題のこと。
(竹内アイシェギュル)
(タジキスタン)
ビジネス短信 8bc974c817588a4f