英政府機関、長期エネルギー貯蔵プロジェクト77件を最終審査へ
(英国)
ロンドン発
2025年10月06日
英国政府機関のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は9月23日、長期エネルギー貯蔵(LDES)支援スキームの最終審査段階に進む77件のプロジェクトを決定した。
クリーンエネルギーへの移行を推進する英国政府は2024年10月、特定のLDESプロジェクトの事業者の収入に上下限を設定するキャップアンドフロアスキームをOfgemの運営のもとで導入すると決定(2024年10月18日記事参照)。その後、Ofgemは2025年4月、本スキームの第1回ラウンドへの申請受け付けを開始し、適格性基準評価フレームワーク(ECAF)に基づきプロジェクトの1次審査を実施した。計171件のプロジェクトが本スキームに申請し、うち77件のプロジェクトが1次審査後のフェーズである最終審査へ進む。
1次審査を通過したプロジェクトには、リチウムイオンのバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)、揚水発電、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)、バナジウムフローBESS、液化空気エネルギー貯蔵(LAES)とBESSのハイブリッド式などのLDES案件が含まれた。うち最も多かったリチウムイオンBESSプロジェクトは、件数全体の6割超(48件)を占めた(詳細はOfgem資料参照)。1次審査を通過したプロジェクトの合計容量は28.7ギガワット(GW)で、うちトラック1の71件(計24.5GW)は2030年までに、トラック2の6件(計4.2GW)は2033年までに供給可能という(注)。Ofgemのキャップアンドフロアスキームの対象プロジェクトは、Ofgemが定める多基準評価(MCA)フレームワーク
を用いた最終審査が行われ、2026年夏には最終決定し、発表される予定だ。
(注)Ofgemはプロジェクトの審査で「ツイントラックアプローチ」を採用し、トラック1は2030年までに完了可能なプロジェクト、トラック2は2033年までに完了可能なプロジェクトに分類している。
(バリオ純枝)
(英国)
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