スリランカ大統領が初訪日、東京のビジネスセミナーで講演
(スリランカ、日本)
コロンボ発
2025年10月02日
スリランカのアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ大統領が9月27日~10月1日に日本を訪問した。大統領として初の訪日で、29日にはジェトロや経済産業省などが共催した「スリランカ・ビジネスフォーラム」で基調講演を行った。
大統領は講演で、2022年に発生した経済危機後の債務再編交渉で、「日本が重要な役割を果たした」として、あらためて謝意を表明した上で、マクロ経済が安定し、2024年のGDP成長率が5.0%に達したことなどを示し、戦略的要衝にあるスリランカへの日本企業の投資機会が開かれていると語った。フォーラムには150人が参加し、大統領による投資環境整備などの話に耳を傾けた。
ディサーナーヤカ大統領は同日午前に石破茂首相と首相官邸で会談した。会談では南アジアの巨大市場を生かした域内貿易の促進や、スリランカのグローバルサプライチェーンへの参画を目指す「輸出志向型産業回廊構築に向けたロードマップ」などを取り上げた。フォーラムでは経済産業省の担当者が同ロードマップの概要を説明した。スリランカ側からは、デジタル経済担当大統領首席顧問のハンス・ウィジャヤーリヤ氏が人工知能(AI)格差解消などを目的とし、南西アジア地域全体を対象にした「中立AIゾーン」の構想について説明した。
このほかに、日本・スリランカ経済委員会の小林文彦委員長(伊藤忠商事副社長執行役員)やセイロン商工会議所のクリシャン・バレンドラ会頭(財閥ジョン・キールズ・ホールディングス会長)があいさつし、伊藤スプリング製作所(本社:愛知県)の川嶋実和子社長やトスレック(本社:京都府)傘下のトスランカの田中宣行工場長、スリランカ投資庁(BOI)ジャパンデスク担当のアルニャ・ディ・シルワ・アシスタントディレクターがスリランカ事業や投資機会について講演した。
フォーラム参加者からは、「現政権による経済の安定と成長に期待したい」「講演を新しい事業分野を検討する参考にしたい」「市場や人口の規模の大きくないスリランカで、デジタル分野などは新しい切り口と感じた」などの声が聞かれた。
ビジネスフォーラムで参加者からの質問を聞くディサーナーヤカ大統領(後方右から5人目)(ジェトロ撮影)
(今野至、大井裕貴)
(スリランカ、日本)
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