モスクワの美容展示会、中韓が存在感
(ロシア、中国、韓国)
調査部欧州課
2025年10月20日
ロシア国内最大の美容関連見本市「インターチャーム」が10月15~18日、モスクワ近郊の展示会場クロックス・エクスポで開催された。前回(2024年10月29日記事参照)よりも多い1,452社が出展した。
主催者の発表(10月7日)によると、出展企業を国別にみると、ロシア(681社)を除くと、中国が485社でほかを圧倒した。これに韓国(84社)、トルコ(57社)が続いた。近年のロシアの展示会で常連となったアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、イランといった中東諸国に加え、イタリア、フランス、セルビアなどの欧州企業による出展もあった。
中国と比べると企業数は少ないものの、韓国も大きな存在感を放っていた。同国の商品を扱うロシア地場企業が韓国を前面に出して、商品をPRするという姿も多く見られた。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は10社からなるナショナルパビリオンを設置した。担当者によると、出展企業の募集枠を大幅に上回る希望が寄せられたことから、選考の結果、複数企業の参加を断らざるを得なかったという。KOTRAブースのすぐ隣には、同国の別企業が主導する集合パビリオンも設置された。ブースのデザインは異なるものの、同じ韓国として一体感を出して自国商品を売り込んでいた。
日本製品の出品あるも輸入販売ビジネスは厳しいという声も
今回、日本企業が直接運営するブースはなかったが、ロシア企業が日本から輸入した製品を展示するブースは複数あった。サンクトペテルブルクから来たというある会社は、日本で委託(OEM)生産しているコラーゲン商品などを展示していた。
日本企業が経営に携わる別の地場企業は、日本から輸入しているスキンケア商品を出品した。日本製は「高品質」「高い技術力」のイメージから、ロシアで人気はある一方で、日本を含む「非友好国」の製品に対するロシア側の差別関税の導入などもあり、ビジネス環境は厳しくなっているという。そこで、2024年からモスクワで新たに独自ブランドの化粧品の製造を始めた。
同社の担当者に話を聞いたところ(10月15日)、ロシア政府は近年、輸入品を国産品に置き換える「輸入代替」を積極的に推進しており、ロシア国内での生産活動に対して国や市からさまざまなサポートがある。今回のインターチャームへの出展も、出品物の中に「メード・イン・ロシア」が含まれることから、モスクワ市から優遇措置を受けることができたという。今後も高価格で高機能の輸入品と、価格競争力のある現地生産品の両方で、ロシア市場に展開していく意向を示した。
一部の中国企業は自国自治体によるプログラムを使って出展(ジェトロ撮影)
手前が民間主導のパビリオン、奥がKOTRAのパビリオン(ジェトロ撮影)
「Keauty 韓国発の化粧品」の看板を掲げ、複数の韓国ブランドを紹介するブース(ジェトロ撮影)
韓国の睡眠グッズを体験できるロシア企業のブース(ジェトロ撮影)
(欧州課)
(ロシア、中国、韓国)
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