北極海コンテナ航路の初便運航、欧州向け海上輸送時間を半減
(中国、欧州)
上海発
2025年10月20日
中国共産党機関紙「人民日報」は10月15日、北極海航路を初めて利用した「中欧北極海コンテナ航路」を活用して、中国の貨物船が英国のフェリクストウ港に到着したと報道した。これによって、スエズ運河を経由する航路に比べて、中国から欧州までの所要日数は約半分に短縮される。
国営メディアの新華社の報道によると、貨物船は9月23日、4,890個のコンテナに太陽光発電用の部品やリチウム電池などを積み込み、浙江省寧波市の舟山港を出発した。当初は18日間で英国に到着する予定だったが、ノルウェー海域で嵐の影響を受けたために、2日遅れの20日間で到着した。この航路を担当する海杰航運(香港)の最高執行責任者(COO)の李暁斌氏は、中欧北極海コンテナ航路は電池など温度に敏感な貨物や時間的制約がある商品に適していると説明した。
輸送日数は最短18日で到着するとしており、中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」(所要日数が約25日)や、スエズ運河ルート(約40日)、喜望峰ルート(約50日)に比べて短く、同時にコストも大幅に削減される。「中欧班列」ではコンテナ1本当たりの輸送コストは約7,000ドルかかるといわれるが、中欧北極海コンテナ航路は約40%削減可能だとしている。
2025年1~8月の中国とEUの貿易総額は前年比4.3%増の3兆8,800億元(約81兆4,800億円、1元=約21円)で、中国の対外貿易総額の13.1%を占める。10月15日付「人民日報」によると、中欧北極海コンテナ航路は中国と欧州を結ぶ3つ目の海上輸送ルートとして、長江デルタのハイエンド製造業や新エネルギー産業と欧州市場のつながりを深めていくと見込まれる。
(趙姝萍)
(中国、欧州)
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