世界最大級の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア2025」、新型コロナ禍後最多の来場者でにぎわう

(ドイツ、日本)

デュッセルドルフ発

2025年10月27日

ドイツで世界最大級の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア2025」が10月15~19日の5日間にわたって開催された。主催者発表によると、131カ国から23万8,000人が来場し、新型コロナウイルスのパンデミック後、来場者の増加が続いている。そのうちビジネス関係者は11万8,000人を数え、コンテンツの国際的な版権取引の場としての存在感を示している。

出版社などの個社ブースに加え、自国のコンテンツをアピールする各国のパビリオンの出展も見られた。その他、オーディオブック(注)を出展するブースや、映画やゲームなど他のクリエーティブ産業との融合を目指す取り組みを紹介するエリアなどもあり、多岐にわたる分野から4,350社が出展した。また、デジタルコンテンツをはじめとした業界のトレンドや、人工知能(AI)技術の活用といった業界が直面する課題などをテーマとしたカンファレンス、人気作家によるサイン会や登壇といった3,500を超えるイベントも場内で併催された。

日本からは日本書籍出版協会がジャパンブースを設置し、日本の出版社19社が出展した。昨今はアニメや漫画にとどまらず、日本人作家の小説の人気が欧州でも高まっており、来場したバイヤーも関心を向けていた。また、文化庁とフランクフルト・ブックメッセの共催で日本の書籍の翻訳出版に向けた商談会も別途開催され、商談会の実施委託を受けた映像産業振興機構(VIPO)の内島靖人出版・ゲーム事業部長は「商談会は今年で3回目の実施となったが、前年までに2件の翻訳出版契約が成立しており、商談会に参加した日本の出版社からも好評を得ている。今回はドイツ以外にも、英国、フランス、スイスの出版社(バイヤー)にも参加してもらい、多くの商談を設定することができた。ジャパンブースへの出展企業数は増加傾向にあるものの、円安の影響などで日本から気軽に出展するのが難しい状況にある。VIPOとしては、海外出展に活用できる補助金や日本書籍出版協会と共同運営しているオンラインカタログ『Japan Book Bank外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます』の利用も促進していきたい」と述べ、日本のコンテンツの海外展開への期待と、今後の前向きな支援への意気込みを見せた。

写真 ジャパンブースの様子(ジェトロ撮影)

ジャパンブースの様子(ジェトロ撮影)

次回の「フランクフルト・ブックフェア」は、2026年10月7~11日に開催の予定。

(注)プロのナレーターや声優が書籍を朗読した音声コンテンツ。

(櫻澤健吾)

(ドイツ、日本)

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