ストレーツ・タイムズ指数、2040年までに1万ポイント達成の可能性

(シンガポール)

シンガポール発

2025年10月30日

シンガポールの最大手銀行DBSは10月22日発表のレポート「シンガポール2040:向こう15年間の質の高い包摂的な成長外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、シンガポール取引所(SGX)の主要株価指数のストレーツ・タイムズ指数(STI)が2040年までに1万ポイントの大台に達する可能性もあると指摘した。

STIは7月に4,200ポイントを超えた後も上昇を続け、10月7日に終値4,472.26と史上最高値を更新した。DBSは、STIが上昇した背景について「米国の優位性が薄れる中、安全な投資先としてのシンガポールの魅力が高まり、割安な株価や低金利に加え、シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)の(株式市場活性化のための)支援策がある」と分析した。

しかし、DBSは、STIが過去最高水準に達しても、「シンガポール株式市場は依然として過小評価されている」との見方を示している。DBSによると、8月6日時点のFTSE・STオールシェア株価指数の時価総額(7,205億シンガポール・ドル=約85兆円、Sドル、1Sドル=約118円、注1)に対するシンガポールのマネーサプライ(M2)の比率(注2)は「0.84」と、世界金融危機時に見られた低水準にある。この比率が1.1に回復すれば、STIは理論的に5,500ポイントを超えるという。さらに、年間の1株当たりの純利益(EPS)の成長率5%の水準が2040年まで持続すれば、STIが1万ポイントに達すると見込んでいる。

MAS、株式市場活性化で50億Sドル投入

MASが株式市場活性化のために設置した「株式市場再検討グループ」は2025年2月、第1弾の市場活性化策を発表した。その目玉策の1つとして、総額50億Sドル規模の「株式市場開発プログラム(EQDP)」の導入を明らかにしていた。同プログラムは、地場株式に重点的に投資する資産運用会社と提携して投資を行うものだ。MASは同年7月、第1弾の運用会社として、地場のアバンダ・インベストメント・マネジメント、政府投資会社テマセク・ホールディングス傘下のフラートン・ファンド・マネジメント、米国のJPモルガン・アセット・マネジメントを選定し、初期資金として11億Sドルを割り当てた。

シンガポールのチー・ホンタット国家開発相は10月22日、第2弾の資産運用会社を2025年中に発表すると述べた。MAS副議長を兼務する同大臣は、株式市場再検討グループの委員長を務める。

(注1)SGX1部上場株式の時価総額の98%に相当。

(注2)株式市場時価総額対M2比率は、国内の金融システムに存在する流動性(M2)のうち、どれだけが実際に株式市場に投資されているかを示す。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 7c4038b3356f20e8