低炭素社会に向け、グリーンエネルギービジネスフォーラムをジェトロ共催
(タイ)
バンコク発
2025年10月21日
ジェトロは10月6日、タイのエネルギー省の代替エネルギー開発・エネルギー保全局(DEDE)との共催で、「日タイ・グリーンエネルギービジネスフォーラム-低炭素社会に向けて-」を首都バンコクで開催した。定員を上回る申し込みがあり、当日は109人の聴衆が集まった。このため、主催者側で急きょ、席数を増やす対応を取るなど、低炭素化に向けた取り組みへの現地の注目度の高さがうかがえた。
オープニングセレモニーでは、阿部一郎ジェトロ・バンコク事務所長が「カーボンニュートラルへの取り組みは、日タイ両国にとって競争力強化のカギとなる重要なテーマだ」と述べたのに続き、アピラディー・サマノマイDEDEバイオ燃料開発課長が「持続可能性を意識して取り組むことが重要」と語った。
登壇者(主催者提供)
フォーラムは2部構成で、前半は環境関連政策や関連規制の現状、今後の見通しについて、後半は民間部門による投資や市場機会について、講演が行われた。
前半では、エネルギー省のワッチャリン・ブーンヤリット氏が「国家エネルギー計画(NEP)のビジョンとロードマップ」と題して、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロを目指す「デカーボナイゼーション」がキーワードだと述べた。また、直接電力取引(DPPA)やユーティリティー・グリーン・タリフ(UGT)などの制度整備を推進するとの考えを示した。
天然資源・環境省のパウィッチ・ケサワウォン氏は「気候変動法-民間セクターにとっての意味-」と題し、環境基金の創設や、民間部門からのGHGデータ提供などを含む気候変動法案の概要を説明した。パウィッチ氏は、同法の2026年末までの成立を目指していると述べた。
また、DEDEのスサリー・キアットマン氏は「バイオ燃料開発計画」と題し、NEPに基づいて、電力開発計画やエネルギー効率計画、再生可能エネルギー計画を施行していることや、バイオ燃料は重要な柱といったことなどを説明した。
後半では、タイ工業連盟のティボディー・ハーンプラサート氏が「民間部門によるエネルギー転換への対応策」と題し、民間部門が省エネルギーを達成するには、経済的支援や専門的助言、成功事例の共有、知識と技術データが必要だとした。最後に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の木内茂氏が「タイにおけるイノベーションによる社会課題解決プロジェクト」と題し、NEDOがタイで取り組んでいる実証プロジェクトとして、家庭向けのモノのインターネット(IoT)による快適性と省エネを両立するシステムなどを紹介した。
(野田芳美、近添優子、高橋凌太)
(タイ)
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