国内最大規模の経済安全保障対策会議・展示会「ECONOSEC JAPAN」開催

(日本、米国)

調査部国際経済課

2025年10月02日

経済安全保障に関する情報発信や意識啓発の促進を目指す日本国内唯一の経済安全保障対策会議と展示会「エコノセック・ジャパン2025(ECONOSEC JAPAN 2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が9月30日~10月1日、東京都豊島区内の会場で開催された。主催は時事通信社とエコノセック・ジャパン実行委員会で、今回が3回目の開催となる。

初日の基調講演「わが国の経済安全保障について」では、元経済安保担当相の小林鷹之衆議院議員と、エコノセック・ジャパン実行委員会委員長の細川昌彦氏が対談した。小林議員は「強い日本経済をつくるために、経済安全保障は極めて重要」と強調し、経済安全保障の全体像である8本の柱を紹介した(注)。他国に依存しない経済構造を築く「自律性の向上」と、日本が国際社会で欠かせない存在になるような優位性ある分野を獲得する「不可欠性の確保」が経済安全保障の基盤になるとした。また、日米合意での5,500億ドルの米国への投資枠に関して、小林議員は「半導体やエネルギー分野で日本の国益にもかなうものがある。日米両国に裨益(ひえき)する米国でのプロジェクトを発掘し、日本からも積極的に提案していくべき」とコメントした。

写真 壇上左から、細川委員長、小林議員(ジェトロ撮影)

壇上左から、細川委員長、小林議員(ジェトロ撮影)

初日のシンポジウムでは、「トランプ政権時代における日本の経済安全保障」と題し、米国の第2次トランプ政権による保護主義的な関税措置や、中国のレアアースの輸出管理強化などへの見方について、専門家が意見を述べた。パネリストのTMI総合法律事務所の緋田順特別顧問は「トランプ関税は、自由貿易の時代を経済安全保障の時代にかえた」と指摘した。また、同氏は「米国の追加関税は年間3,000億ドルの税収をもたらすと試算され、民主党が政権をとっても継続されるだろう。日本企業は、関税がニューノーマルになることを心得るべき」と警鐘を鳴らした。

2日目のクロージングセッション「新たな国際秩序における企業の挑戦」では、ジェトロの石黒憲彦理事長が「ジェトロは公開情報をベースに情報提供してきたが、今後はもう一歩踏み込んで、経済インテリジェンスの情報提供を強化していく」と強調した。

写真 クロージングセッションの様子(ジェトロ撮影)

クロージングセッションの様子(ジェトロ撮影)

会場内では、経済安全保障について関連技術やサービスを持つ企業など約80社・団体がブースを設けた。出展企業として、サイバーセキュリティーや、データ解析、ブロックチェーン、インテリジェンス技術(Intel-Tech)、コンサルティング関連企業などが各社の事業を紹介した。中でも日鉄ソリューションズはサプライチェーンリスク管理のため、取引先のサプライヤーを可視化するツール「カーロン(KHARON)」を提案し、関心を持つ来場者と展示企業間で活発な議論が行われていた。

(注)8本の柱(8つの全体像)の詳細は、自民党政務調査会の経済安全保障推進本部「わが国が目指すべき 経済安全保障の全体像について~新たな国家安全保障戦略策定に向けて~外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」参照。

(馬場安里紗)

(日本、米国)

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