第28回ASEAN+3経済相会合、保護主義に懸念表明

(ASEAN、日本、中国、韓国、米国、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)

ジャカルタ発

2025年10月10日

第28回ASEAN10カ国と日本、中国、韓国(ASEAN+3)の経済相会合が9月24日、マレーシア・クアラルンプールで開催された外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ASEAN加盟国の経済閣僚のほか、日本の武藤容治経済産業相、中国商務部の鄢東副部長、韓国産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が出席した。

会合では、ASEANの統計に基づき、ASEANと日中韓の双方向の貿易総額は2024年に1兆2,170億ドル(前年比7.3%増)に達したことや、日中韓からASEANへの外国直接投資(FDI)は2024年に444億ドル(同31.5%増)となり、ASEANへのFDI流入総額の19.7%を占めることが報告された。

ASEAN+3の経済閣僚は、世界情勢の不確実性が特に中小零細企業などに重大な課題をもたらしているとして、WTOを中核とする「開放的で、差別がなく、予測可能で、透明性があり、自由かつ公正で、包摂的、持続可能な、ルールに基づく多角的貿易体制の維持へのコミットメント」を再確認した。特に一方的な保護主義的措置に対する懸念を表明し、WTOを建設的な関与のために活用するとした。

民間セクターとのセッションでは、東アジアビジネス評議会(EABC)のアズマン・ハシム議長、李豊(リー・フェン)共同議長代行〔中国貿易促進委員会(CCPIT)インドネシア事務所代表〕が参加し、地域的な包括的経済連携(RCEP)における原産地証明書のデータ交換方式の導入や、「東アジア・サプライチェーン調整諮問評議会」の設立、ASEANタリフ・ファインダーの使用可能地域をASEAN域外にも拡大することなどを提言した。また、ジェトロの片岡進副理事長は、EABCと共同で実施した「2025年EABCジェトロ共同調査」の結果を報告した。

写真 ASEAN+3の経済相会合(ジェトロ撮影)

ASEAN+3の経済相会合(ジェトロ撮影)

第13回東アジア首脳会議(EAS)経済相会合も開催

第13回東アジア首脳会議(EAS)経済相会合も9月25日にクアラルンプールで開催された外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。会合には、ASEANの経済閣僚のほか、ジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表、日本の小見山康二・経済産業省通商政策局審議官らが出席した。会合では、経済や食糧・エネルギー安全保障に関する幅広い課題について意見交換を行い、国際法の順守や、経済協力を通じた「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の推進と実施の強化なども再確認した。

ベルナマ通信(9月25日)などによると、グリアUSTR代表はASEAN経済閣僚との関連会合で「米国は今後数カ月でより多くの東南アジア諸国との貿易協定を最終化する予定」と述べ、米国がASEANとの貿易を歓迎している意向を示した一方、「バランスが取れ、相互的でなければならない」とも強調した。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は2025年7月、米国のトランプ大統領が同年10月26日から開催する第47回ASEAN関連首脳会議に合わせてマレーシアを訪問すると表明していた(7月31日付ベルナマ通信)。

(大滝泰史)

(ASEAN、日本、中国、韓国、米国、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)

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