ブラジル自動車業界、コロンビアとの自動車協定終了に懸念
(ブラジル、コロンビア)
サンパウロ発
2025年10月17日
ブラジルの全国自動車製造業者協会(Anfavea)は10月8日、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)経済補完協定(ACE)72号(通称「メルコスール-コロンビア経済補完協定」)の適用が9月30日に終了したことを受け、記者会見で懸念を表明した。Anfaveaのイゴール・カルベ会長は「大きな懸念がある。速やかな対応策がなければ、他国がコロンビア市場へのアクセスを強化する可能性がある」と述べた。
同協定は、メルコスール加盟国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)とコロンビア間の経済補完協定(ACE)で、自動車・同部品を含む6,524品目が関税削減の対象だった(注1)。ブラジルとコロンビア間の協定は2017年7月に署名され、同年12月に発効した。同協定の付属書IIによると、自動車については無関税輸入枠が設定されていた。協定発効後、1年目は1万2,000台、2年目は2万5,000台、3年目以降は5万台だった(注2)。コロンビア政府は、ACE72号第44条に基づき、2024年7月に協定の撤回を通告し、同年9月30日にALADIに正式な申し入れを行った。これに基づき、協定は2025年9月30日に終了した(注3)。今後、ブラジルからの自動車輸入に対しては、コロンビアで16.1%の関税が賦課される。
コロンビアのルイス・カルロス・レジェス商工観光相(当時)は2024年8月2日付の地元紙「エル・エスペクタドール」のインタビューで、撤回の目的は国内産業の強化と説明した。一方、ブラジル現地紙「エスタード」(9月30日付)によると、ブラジ産業界では、コロンビア政府が今後、中国、韓国、米国からの自動車輸入を優先する可能性があるとの懸念が広がっている(注4)。
Anfaveaの統計によると、2025年1~9月のブラジルの自動車輸出で、コロンビアはアルゼンチン、メキシコに次ぐ第3位の輸出先。輸出額全体の8.9%(3万8,472台)を占めた。
(注1)ALADI域内の関税分類コードNALADI(1996年版)による。
(注2)1年目は、ブラジル産自動車では域内付加価値基準(RVC)が50%のものが9,000台、RVCが35%のもので3,000台、コロンビア産自動車は、RVCが50%のもので3,000台、35%のもので9,000台。2年目は、ブラジル産ではRVCが50%のものが2万台、RVCが35%のもので5,000台、コロンビア産自動車は、RVCが50%のもので5,000台、35%のもので2万台。3年目以降は、ブラジル産ではRVCが50%のものが4万5,000台、RVCが35%のもので5,000台、コロンビア産自動車は、RVCが50%のもので5,000台、35%のもので4万5,000台。
(注3)ACE72号第44条の脱退通告条項に基づき、締約国は協定を一方的に廃棄できる。通告後60日以上経過してからALADIに申し入れを行った場合、1年後に協定の効力が終了する。
(注4)コロンビアは、米国(2012年5月発効)、韓国(2016年7月発効)と、自動車・同部品の関税譲許を含む自由貿易協定(FTA)を締結している。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、コロンビア)
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