日本側が深セン市政府と意見交換会、レアアース輸出規制や海外AIツールの利用規制などに関心
(中国、日本)
広州発
2025年10月02日
ジェトロと在広州日本総領事館、深セン日本商工会は9月25日、広東省深セン市で同市政府との間で、現地進出日系企業のビジネス環境改善を目的とした意見交換会を開催した。
この意見交換会では、日本側の参加者から、レアアースの輸出規制や海外の人工知能(AI)ツールの利用規制、外国人居留許可の有効期限、揮発性有機化合物(VOC)規制の継続方針など12項目の質問・要望を提示し、深セン市の各関連政府部門から回答を得た。
レアアースの輸出規制では、「磁石を含む部品は輸出許可取得後も深セン港で通関が滞り、高額な保管料が発生している」との企業の指摘に対し、深セン市商務局は「こういった要望は既に商務部産業安全管理局に報告している。審査プロセスの最適化を検討中で、近いうちに効率化への道筋が示されると確信している」と回答した。
AIツールの利用については、日本本社が提供するAIツールを現地法人で使用するケースが増える中、「中国で未登録の海外製AIツールの利用は法令違反に当たるのか」とか、「利用者個人に責任が及ぶ可能性があるのか」といった懸念が企業から寄せられた。これに対し、中国共産党深セン市委員会のネットワーク安全と情報化委員会弁公室は「現時点では利用者に対する直接的な規制はないが、当該ツールの使用に伴ってデータの越境移転が生じる場合、『サイバーセキュリティー法』や『データセキュリティー法』などに抵触する可能性がある」と指摘した。また、重要データや一定規模以上の個人情報を海外に送信するには、所定の法定手続きを行う必要があるとし、中国のインターネット情報弁公室が公開した登録済みの国内AIツールの利用を推奨するとした。
このほか、労働時間管理や、養老(介護)保険料の納付基数、給与支払い代行の税務上の扱いなど、企業の実務に関わる制度運用の質問が多く寄せられ、各政府部門は法令の解釈や現行制度の運用状況を説明した。
会議の様子(共催者提供)
(汪涵芷)
(中国、日本)
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