タザラ鉄道の大規模改修に合意、中国鉄建が14億ドル以上投資
(タンザニア、ザンビア、中国)
ナイロビ発
2025年10月15日
中国とタンザニア、ザンビアは9月29日、タンザニアとザンビアを結ぶタザラ鉄道の大規模改修に関する合意書に調印した。中国・北京で行われた調印式には、タンザニアのマカメ・ムバラワ交通相、ザンビアのフランク・タヤリ運輸・ロジスティクス相、中国側は中国鉄建(CRCC)の戴和根(ダイ・ヘゲン)会長が参加した。
タザラ鉄道はタンザニアのダルエスサラーム港と、ザンビアのカピリ・ンポシを結ぶ1,860キロにわたる鉄道だ。タンザニア-ザンビア鉄道局の発表によると、CRCC傘下の中国土木工程集団(CCECC)が14億ドル以上を拠出して、線路の改修に加え、機関車32両、貨車762両を調達するという。30年間のコンセッションで、運営管理までを同社が請け負う。
タザラ鉄道は1970年から1976年にかけて建設され、アフリカにおける中国の大規模インフラ事業の先駆けともいうべきプロジェクトだ。そのばく大な建設資金は当時、経済性が低いとして、世界銀行を含む西側諸国が支援を見送ったが、中国が支援に同意した。1970年に9億8,800万元(当時、現在は1元=約21円)の資金を30年間の無利子で提供し、建設を開始した。1976年にフルオペレーションとなり、現地報道によると、1980年代のピーク時には年間120万トンの貨物が輸送されていたが、2024/2025年の計画では貨物輸送の目標量は35万トンにまで落ち込んでいる。運営開始から50年近くがたち、老朽化による問題もあり、現在は内陸部から銅などの資源輸送はほぼ鉄道以外の陸路で行われているという。米国がアンゴラのロビト港からザンビア、コンゴ民主共和国南部を結ぶロビト回廊の開発計画(2024年3月22日付地域・分析レポート参照)を進める中、中国は米国のロビト回廊計画に対抗し、タザラ鉄道の大規模改修に乗り出したとみられる。
(佐藤丈治)
(タンザニア、ザンビア、中国)
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