世界洋上風力サミットに先立ち、企業が協業を視野に交流

(日本)

秋田発

2025年10月23日

ジェトロは10月14日、秋田市で同月15日から17日まで開催された世界洋上風力サミット(GOWS-Japan 2025、注1)に合わせ、外資系企業と秋田県内企業との洋上風力発電分野での協業可能性に向け交流会を開催した。

秋田商工会議所の辻良之会頭はあいさつの中で、秋田県沖の洋上風力事業の現状を踏まえ「先行投資している地元企業もあり、行政にはしっかりした制度設計をお願いしたい」と述べるとともに、外資との協業を含めた洋上風力関連での新たなビジネス機会が地元経済界にもたらされることへの期待を示した。

関係企業によるプレゼンテーションでは、参加外資系企業は特殊なノウハウが求められる洋上風力発電装置関連資材の輸送や、風力を含む発電関連調査情報提供サービスなど、また秋田県内企業は施設や機材向けの塩分除去装置の紹介や、風力発電用ブレードなど関連資材の保管などのサービス提供の可能性などについて発表した。

写真 参加外資系企業によるプレゼンテーション(ジェトロ撮影)

参加外資系企業によるプレゼンテーション(ジェトロ撮影)

交流会に参加したアキモク鉄工〔本社:秋田県能代市。橋や水門のほか、ファインバブル(注2)を使った塩分除去装置を製造〕の花下智之社長は、「情報が入りにくい欧州の企業が多く参加しており、今後のビジネス展開を考えるきかっけになった」と交流会の意義を評価した。

日本風力発電協会(JWPA)の羽山考一洋上風力部会副部会長(MHIベスタスジャパン事業開発部長)は、秋田での洋上風力発電の可能性について、「秋田県は新たな産業としていち早く官民で風力発電に取り組んできた。洋上風力発電に関しても、産業界のみならず、自治体を含む地元が協力して産業育成や雇用創出に取り組む姿勢を強く感じる」と指摘。秋田県での洋上風力発電分野の発展に期待を示した。

交流会には、外資系企業、県内企業の双方から26社、38人が参加。自社ビジネスの取り組みの紹介や企業間での情報交換を行った。

(注1)発電機メーカー、ディベロッパー、研究機関などからなる世界風力会議(GWEC)が各国の関連団体と共催するもの。日本ではJWPAと共に2021年から実施している。秋田での開催は2回目。

(注2)極小の気泡を発生させることで洗浄、土壌・水質浄化、殺菌・滅菌などに活用される技術。

(梅津哲也)

(日本)

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