山東省済寧市が投資促進イベント開催、金鷹集団・長城重工が大型プロジェクトを紹介

(中国)

青島発

2025年10月03日

山東省済寧市において9月27日、「投資済寧経済貿易協力交流会」が2025年中国国際孔子文化祭(注1)に合わせて開催された。日本のワンアジア(所在地:新潟県加茂市)が日本中華総商会を代表して参加したほか、シンガポールのロイヤル・ゴールデン・グループ(中国では金鷹集団)、長城重工などの企業や政府関係者、業界団体関係者など約200人が参加した。

交流会に参加した済寧市共産党委員会の温金栄書記は歓迎あいさつで、「済寧市は『孔子・孟子の故郷』として知られ、総人口(戸籍登録ベース)は890万人に達する。2024年の域内総生産(GRP)は5,867億元(12兆3,207億円、1元=約21円)、財政収入は496億3,000万元で、全国の地級市(省・自治区の下位レベルの行政単位)の中でGRP総額は50位、財政収入は39位だった」と説明した。また、同市は現在推進している工業経済倍増プロジェクト(注2)により、ハイエンドな設備や化学工業、新エネルギー、新材料、次世代情報技術、バイオ医薬、食品などの優位性のある産業クラスターの育成を進めていると述べた。

山東省の宋軍継副省長は、同省が「走在前、挑大梁(先頭に立ち、重責を担う)」という方針のもと、グリーン・低炭素型の質の高い発展のモデル地区(注3)の建設を加速していると説明した。また、宋副省長は「2025年上半期、同省のGRPは前年同期比5.6%増となり、全国を0.3ポイント上回った。1~8月の工業生産、消費、貿易額はそれぞれ7.8%、5.7%、5.8%増加し、いずれも全国平均の伸び率を上回った」と報告した。

済寧市への投資企業を代表して登壇した、金鷹集団の趙勇中国区副総裁は、同集団が中国15省に42の現代化された大型工場を設立していると紹介した。また、同グループは中国最大の木材パルプ生産ラインを有し、世界最大のセルロース繊維とリヨセル繊維(注4)の生産者であり、中国初の外資独資(100%出資)での天然ガス発電所を建設していると言及した。さらに、済寧市魚台県のリヨセル繊維プロジェクトの第1期はまもなく稼働し、第2期は規模を倍増する計画と明らかにした。

長城重工の郭樹総裁は、済寧市高新区で進めている総投資額116億元規模のプロジェクトについて報告した。同プロジェクトは、電動あるいはハイブリッド式の建設車両や関連部品を製造する大型生産拠点を建設するもので、2025年9月26日に試験生産を開始した。年間5万台の完成機および重要部品の生産を予定しており、全面稼働後の年間生産額は430億元に上り、5,000人以上の雇用創出が見込まれるという。郭総裁は、2023年の孔子文化祭で調印された同プロジェクトは、済寧市のビジネス環境の優位性を象徴する事例として注目されていると指摘した。

済寧市は文化と産業が融合する都市とされており、日本企業では建機のコマツなどが進出していることで知られている。今後も同市が、外国企業との連携を通じて地域発展を加速させることが期待されている。

写真 投資済寧経済貿易協力交流会会場の様子(ジェトロ撮影)

投資済寧経済貿易協力交流会会場の様子(ジェトロ撮影)

(注1)孔子(紀元前551年生)の生誕地・曲阜市(済寧市傘下の県級市)などで毎年9月に開催される国際文化祭。儒教思想と伝統文化の継承・発信を目的とする。

(注2)済寧市が2024年12月31日に打ち出した「一跨五倍増(1つの飛躍・5つの倍増)」計画。約3年で工業経済を1兆元規模に拡大し、主要5指標(工業経済総量、売り上げが一定規模以上の工業企業の数、ハイテク企業の数、生産性サービス業の規模、貿易総額)を倍増させる戦略。

(注3)国務院が2022年9月2日に発表した意見(国発〔2022〕18号)に基づき、山東省は全国初のグリーン・低炭素・質の高い発展をテーマとした国家戦略地域に指定された(2025年3月28日記事参照)。

(注4)ユーカリなどの木材パルプを原料に作られる再生繊維。

(皆川幸夫)

(中国)

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