チッタゴン港のサービス料金が大幅引き上げへ、複数のターミナル運営を外国企業に委託する計画も

(バングラデシュ)

ダッカ発

2025年10月15日

バングラデシュ政府は9月14日、主要港湾のチッタゴン港のサービス料金を大幅に引き上げ、10月15日から施行すると発表した。新料金体系では平均41%の値上げを実施し、2万トンを超える船舶の曳船料金は632ドルから3,415ドルに引き上げる。

この決定に対して、バングラデシュの産業界は激しく反発してきた。チッタゴン商工会議所連合会が10月12日に主催した会議では、主要関係者が新料金体系の即時停止を求めた。国内最大手の縫製業団体バングラデシュ・アパレル製造輸出業者協会(BGMEA)のナシル・ウッディン・チョウドリー元筆頭副会長は「今回の措置は自殺行為だ。コスト上昇によって買い手がベトナムやインドに流れてしまう」と述べた。大手縫製メーカーのパシフィック・ジーンズのサイード・モハマド・タンビル社長も「政策変更の頻発が事業コストを押し上げている。競合国がコスト削減を進める中、バングラデシュは逆行している。港湾は経済の要だ。政府がサービス料金の引き上げを停止することを望む」と発言した。

さらに、チッタゴン港に立地する少なくとも3つのターミナルについて、外国企業に運営を委託する計画もある。モハメッド・ユスフ海運次官は10月12日に開いた経済記者フォーラムで、「いまだ交渉中のものもあるが、12月までにこれら3つの主要プロジェクトを前進させたい」と語った。政府はターミナルの運営を政府から外国企業へ移管することで、港湾の効率を高め、運営コストを削減したい考えだ。サービス料金を引き上げる背景には、外資系のターミナル運営会社を誘致したい思惑もあるとみられる。ユスフ海運次官は「バングラデシュの物流コストは現在、GDP比率で15~16%に上り、世界でも最も高い水準にある。多くの国々で、物流コストは平均8%程度だ。これほど物流コストが高い状況では、世界で競争力を確保できるわけがない」との見解を示す一方、「前回の大幅な料金改定は1986年に行われた。確かに料金は多少上昇するが、40年ぶりの改定であり、避けることのできない必要な措置だ」と述べ、今回の政策の妥当性を主張した。

税関を含め港湾での輸出入手続きは、進出日系企業が抱える主要課題の1つだ。国内最大港のチッタゴン港のサービス料金引き上げや、外国企業への運営委託がビジネスに与える影響について注目される。

(片岡一生)

(バングラデシュ)

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