世界最大級のクリプト(暗号資産)カンファレンス「TOKEN2049」開催

(シンガポール)

シンガポール発

2025年10月09日

シンガポールで1012日、クリプト(暗号資産)に特化したイベント「TOKEN2049」が開催された。約25000人が来場し、本イベントに併せ、1,000件以上のサイドイベントも併催された。

同イベントは、シンガポールとドバイ(アラブ首長国連邦)で交互に開催される世界最大級の暗号資産関連カンファレンス。暗号資産やWeb3(注1)関連企業、フィンテック企業、金融機関、投資家などが一堂に会し、最新の技術やサービス、規制動向について議論する場となっている。

今回のイベントでは、日本勢も存在感を示した。一般社団法人ASIA WEB3 ALLIANCE JAPANは日本企業など7社を取りまとめ、「Japan Hub」ブースを出展した。同法人は、アジアのWeb3経済圏と日本国内企業との連携を目指して設立された団体で、TOKEN2049の前後にはネットワーキングイベントやピッチイベントも開催。ジェトロ・シンガポール事務所が後援したネットワーキングイベントでは、Web3関連企業の関係者が集まるタイミングを活用して、活発な交流が行われた。

写真 Japan Hubの様子(ジェトロ撮影)

Japan Hubの様子(ジェトロ撮影)

会場では多数のパネルディスカッションや議論が行われ、米国のドナルド・トランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏も登壇した。トランプ一族が関与する仮想通貨ベンチャー「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」の役割と今後の展望などについて語った。

次回のイベントは2026年4月29~30日にドバイ、2026年10月7~8日にシンガポールで開催される予定。

シンガポール、暗号資産規制を整備

シンガポールでは、通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)がデジタルトークンサービスに関する規制の整備を進めている。2025年6月には、「デジタルトークンサービスプロバイダー制度(DTSP)」(注2)の適用範囲が明確化された。これにより、6月30日以降、シンガポール国外の顧客のみにデジタル決済トークンまたは資本市場商品のトークン提供を行う事業者に対しても、ライセンスの取得が義務付けられた。(MASプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

一方でMASは、革新的な金融ソリューションを限定的な条件下で実証できる「レギュラトリー・サンドボックス制度」を導入するなど、イノベーション支援の枠組みも設けており、単に規制を強化するのではなく、新しいテクノロジーを柔軟に取り入れながら健全な市場形成を目指している。

(注1)ブロックチェーン上で暗号資産などのトークンを媒体として、「価値の共創・保有・交換」を行う経済やエコシステムを指す。

(注2)詳細は「デジタルトークンサービスプロバイダー向けライセンスガイドライン」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

(中島諒士)

(シンガポール)

ビジネス短信 66d7cfbe10b69abe