イラン、国連制裁の復活に反論
(イラン、英国、フランス、ドイツ、米国)
テヘラン発
2025年10月01日
イラン外務省は9月28日、米国とE3(フランス、英国、ドイツ)による国連安全保障理事会での「スナップバック(制裁復活)」措置について、正当性を否定する声明を発表した。同省は「これらの決議の再発動は、イランや他の国連加盟国に対し、いかなる義務も課さない」と強調した。同声明は、E3が前日の27日に、2015年のイラン核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」と同合意を承認する決議第2231号(注)に基づいて失効していた6件の国連安保理決議の復活を発表したことを受けて出された。E3は、スナップバックメカニズム完了の27日に制裁が再び発効するとし、イランや各国に対して失効していた6件の決議を完全に順守するよう求めた。
イラン側は過去4年間にわたり、関係国によるJCPOAの完全履行、または核問題に関する新たな合意形成に向けた複数の提案を提示してきたが、いずれも米国、E3の誠意を欠く対応により実現には至らなかったと発表した〔9月28日付イスラーム共和国通信(IRNA)〕。外務省のイスマーイール・バーガーイ報道官は、2015年の核合意を受けて停止された国連安保理決議の復活を図る欧州諸国の動きをあらためて非難し、こうした試みは「不当かつ違法」と述べた。同氏は29日に自身のX(旧Twitter)で「米国の圧力を受けて決議2231号の延長に失敗した」と、国連安保理を批判した。また、同氏は、国連安保理の常任理事国2カ国を含む約半数の理事国がイランに対する制裁再発動を「合法かつ正当」とは見なしていないと述べ、15カ国中6カ国が「反イラン決議」の復活を支持しなかったことは安保理内に明確な意見の分裂があることを示しているとした(9月29日付IRNA
)。
アッバース・アラーグチー外相は国連事務総長と安保理議長宛ての書簡で、イランは、国連安保理決議第2231号に基づいて失効した決議の復活の主張を「断固として拒否する」と表明した(9月28日付IRNA)。
(注)2015年に国連安保理で採択されたイランの核問題に関する安保理決議(参考:2016年1月22日付経済産業省ニュースリリース)。
(マティン・バリネジャド)
(イラン、英国、フランス、ドイツ、米国)
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