ウズベキスタン、行政や教育へのAI導入方針を発表
(ウズベキスタン)
タシケント発
2025年10月29日
ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は10月21日、政府高官らとの会談で、行政や経済部門、自治体のシステムへの人工知能(AI)の導入について協議し、方針を発表した。同国でのAI導入加速に向け、インフラ、オープンデータ、人材育成の3分野に焦点を当てる必要性を確認した。
発表した主な方針は次のとおり。
- 2026年のスーパーコンピュータ購入予算の倍増(2025年の予算は5,000万ドル)
- 2026年にウズベキスタンで営業を始める衛星インターネット事業者に対する5年間の法人税などの免税
- 省庁の情報基盤の単一データセンターへの統合(2025年に55系統を移行、2026年に移行完了)
- 学校教育でのAI教育推進、米国マサチューセッツ工科大学と共同の教材開発
- 新ウズベキスタン大学を拠点としたAIクラスターの設立
免税対象となる衛星インターネット事業者名は言及されなかったが、2026年から同国で衛星インターネットサービス「スターリンク」の展開を始める米国のスペースXとみられる。
会議ではAI開発のための法的基盤について確認した。2024年10月に大統領が承認した「2030年までのウズベキスタンAI開発戦略」(2024年10月24日記事参照)と、2025年7月10日付閣議決定第425号「2025~2026年にAI分野の優先プロジェクトを実施するための措置について」に言及した。同決定により、医療、航空宇宙モニタリング、運輸、税務・関税管理、銀行・金融セクターなどでのAI導入の優先国家プロジェクトが承認された。
政府はAIを行政分野に導入している。デジタル化とAI導入により、11月1日までに2,000人以上の公務員を削減する方針だ。主な対象は税務委員会、農業・水資源省、法務省、環境・気候変動省の予定だ(「UPL」10月13日)。
ビジネスでもAI導入が進む。2026年1月1日からウズベキスタンはAIを用いた地震予測システムの運用を開始する。さらに、国営石油ガス会社ウズベクネフテガスは米国のエネルギー・サービス大手SLB(旧シュルンベルジェ)との契約を10月20日に締結した。生産業務のデジタル化や資源の探査・採掘・資産管理に関するAI技術を導入する予定だ。
ウズベキスタンは、オックスフォード・インサイトの政府AI準備指数2024年版で、188カ国中70位と、前年版から17位上昇した。これは、AI開発戦略によってAI技術の戦略的ビジョンカテゴリーで高評価を得たためだ。しかし、政府、科学、ビジネスの連携はまだ限定的で、研究開発費は十分ではなく、リソースへのアクセスも制限されている点が大規模AIプロジェクトの実施を妨げていると同社は評価している。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン)
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