日英産業戦略パートナーシップ、次官級協議を実施

(日本、英国)

ロンドン発

2025年10月02日

日本の松尾剛彦経済産業審議官は9月29日、英国ビジネス・通商省(DBT)のギャレス・デイビス事務次官と会談した(英国政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。両者は日英産業戦略パートナーシップ(注1)に基づく協力の一環として取り組む活動を確認し、次の分野での協力強化について発表した。

【先端製造業・自動車】

  • 自動車分野での緊密な連携、産業戦略、経済安全保障、次世代技術。
  • 2026年初頭に第2回「日英自動車対話」(注2)を開催する。同対話では両国の自動車産業の成長支援や、バッテリー、その他技術などでの協力に焦点を当てる。

【クリーンエネルギー】

  • 「日英エネルギー・気候対話」をはじめとする多様なチャネルを通じて協力を強化。
  • 洋上風力発電や原子力などの分野を通じ、排出削減、エネルギー安全保障、経済成長に資する協力を強化。

【ライフサイエンス】

  • 研究開発と商業連携を強化し、輸出・投資を通じた経済成長を推進。ミッション派遣や相互訪問の可能性について協議。

【量子】

  • 量子コンピューティングの主要施設間での連携強化。サプライチェーン強靭(きょうじん)化と産業成長に向け、ビジネス・研究活動を促進。世界各国の主要イベントへの日英の産業界や投資家の招集。
  • 日英量子協力覚書を推進する。

【サイバー分野】

  • 日英サイバーパートナーシップ、英国国家サイバー諮問委員会と経団連間のサイバー分野における官民パートナーシップに関する協力覚書の重要性を再確認。
  • サイバー人材育成交流の深化、官民パートナーシップの加速、モノのインターネット(IoT)セキュリティー強化に向けて取り組む。

両者はまた、経済安全保障と産業戦略に関する意見交換を実施し、有害な産業補助金などの非市場的な政策や慣行の結果生じる過剰生産能力やその他の市場歪曲(わいきょく)に対する懸念を共有した。さらに、経済的な要因だけでなく、2024年6月のG7プーリア・サミットで承認された「強靭で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則」に関連する要素も考慮し、需要側政策で価格以外の要素の検討を継続することを確認した(2024年6月19日記事参照)。

(注1)日英産業戦略パートナーシップは、2025年3月7日に行われた第2回日英戦略経済貿易政策対話外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表された。

(注2)第1回「日英自動車対話」は2025年5月に開催された。

(森詩織)

(日本、英国)

ビジネス短信 51eee05ca8c8ba7c