第3四半期のCPI上昇率は前年同期比3.27%、政策金利は据え置きの見方
(ベトナム)
ハノイ発
2025年10月08日
ベトナム統計局は10月6日、2025年第3四半期(7~9月)の消費者物価指数(CPI)上昇率を前年同期比3.27%と発表した。3期連続でほぼ同水準となり、過度なインフレは抑制されている(添付資料図参照)。コアCPI(注)は7月以降、3カ月連続で低下した。
第3四半期のCPI上昇率を財別にみると、薬・医療が前年同期比12.69%で最も高かった(添付資料表参照)。政府による医療サービス価格の改定などが影響した。次に上昇率が高かったのは住居(費)、建築材で6.98%だった。住宅価格の上昇や電力料金の引き上げが影響した。電気料金は、2024年10月と2025年5月に引き上げており、2度の引き上げ前に比べ9.8%上昇した(2025年5月15日記事参照)。
一方、交通はガソリン価格の大幅な下落により、マイナス1.42%だった。
主要政策金利は据え置きとの見方
米国が政策金利を引き下げたことを受け、ベトナムでも利下げを期待する声が上がるが、中央銀行と金融監督機関の役割を担うベトナム国家銀行には実体経済の状況を踏まえたかじ取りが求められそうだ。
現地報道による、米国の利下げに伴い、年初来の通貨ドン安に伴うインフレ圧力は和らぐため、金融政策運営の余地は広がるものの、現状の物価水準などを踏まえ当面政策金利を据え置く可能性が高いという(ダウトゥ紙10月7日)。ただし、米国が2025年内に大幅な利下げを行う場合や国内景気の冷え込みが顕著になった場合、ベトナムも利下げに踏み切る可能性がある。
国家銀行は2023年6月を最後に、主要政策金利を調整していない。2025年10月8日時点でディスカウントレート(公定歩合)は年3.0%、リファイナンスレートは年4.5%となっている。
一方、国家銀行は銀行貸し出しの伸び率の目標を前年比16%に定め、金融機関に対して預金金利の引き下げを求めることで資金需要を喚起してきた。貸し出しの伸び率は目標を大きく上回る見込みで、20%に達する可能性もあるという(「ダウトゥ」紙10月7日)。
(注)コアCPIは、総合CPIから穀物、生鮮食品、エネルギー、国家管理材(医療・教育サービスなど)を除いたもの。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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