ケニアのオディンガ元首相が死去、次期大統領選に向け動き活発化
(ケニア)
ナイロビ発
2025年10月17日
ケニアのウィリアム・ルト大統領は10月15日、ライラ・オディンガ元首相が療養先のインドで死去したことを発表した。80歳だった。訃報を受け、首都ナイロビや同氏の政治的地盤の強いキスム、ホマベイ、シアヤ、ミゴリ郡などをはじめとした国内各地において追悼集会や行進が行われている。
オディンガ氏は2008年から2013年までの連立政権で首相を務めた。1992年、1997年、2007年、2013年、2017年、2022年の過去6度にわたり大統領選挙に立候補したが、落選した。2025年2月にはアフリカ連合(AU)の委員長選挙にも立候補し、ジブチのマハムード・アリ・ユスフ氏に敗れている。
オディンガ氏は、2022年のルト政権誕生後も野党指導者として、与党の動きを常に牽制してきた。2023年にはルト政権の増税策に対する度重なる抗議デモを指揮したが、同氏は2025年2月のAU委員長への立候補のため、野党党首としての活動を控えるようになった。AU委員長選以降は、ルト政権への表立った批判も少なくなり、徐々に国内政治の中心から離れつつあった。
2027年の次期大統領選に向けた動きが活発化しており、リガティ・ガチャグア前副大統領やワイパー党のカロンゾ・ムショカ党首、元内務・政務調整長官のフレッド・マティアンギ氏などが次々と立候補の意向を示している。ルト大統領は、ガチャグア前副大統領の更迭により大票田であるケニア山一帯の支持を失った(2024年10月31日記事参照)。ルト大統領は、オディンガ氏に近いジョン・ムバディ・ンゴンゴ氏を財務・計画長官のポストに任命するなど、オディンガ元首相に接近し、同氏の地盤であるケニア西部のニャンザ地方における票の取り込みを狙うような動きを見せていた。
(佐藤丈治)
(ケニア)
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