モルドバ議会選挙、親欧米派が過半数獲得
(モルドバ、ロシア)
ブカレスト発
2025年10月01日
モルドバで9月28日、議会(一院制、定数101)選挙が実施され、親欧米派でEU加盟を推進するマイア・サンドゥ大統領の支持基盤の政党「行動連帯党(PAS)」が得票率50.20%と過半数を獲得し、勝利した。親ロシア派でイーゴリ・ドドン前大統領が率いる政党連合「愛国者ブロック(BEP)」の得票率は24.18%にとどまり、モルドバのEU加盟への方向性を明らかにする結果となった。
地元メディア「Noi.md」(9月29日)によると、101議席のうちPASが55議席、BEPが26議席、政治ブロック「オルタナティブ」が8議席、「私たちの党」と政党「民主主義を家庭に」がそれぞれ6議席を獲得した。
選挙は比例代表制に基づき、全国単一選挙区で1回の投票で行われた。中央選挙管理委員会(CEC)の発表によると、総投票者数は160万8,518人、投票率は52.21%だった。このうち国外から28万1,170人のディアスポラ(移民)が票を投じ、約8割がPASを支持した。
2024年11月に実施された大統領選挙(2024年11月6日記事参照)に続いて、今回の選挙でもロシアによる介入が懸念され、サンドゥ大統領率いる与党政権が過半数を維持できるかが注目されていた。大統領は選挙前から「ロシア政府はばく大な資金を投じて、モルドバの不安定化を図っている」と警告していた。
議会選挙後、サンドゥ大統領は記者会見で「われわれは買収されたり恐怖におびえたりすることなく、誠実な投票を通じて国を守った。投票の結果はEU加盟プロセスに対する強い支持の表れだ」と強調した。
フランス、ドイツ、ポーランドの各外相は29日に共同声明を発表し、モルドバの不安定化を試みるロシアからのハイブリッド脅威にもかかわらず、モルドバはEU加盟に向かって大きな進歩を遂げたことを支持した。
一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は29日、モルドバは選択や言論の自由など民主主義社会の柱となる要素を破壊し、国際法規範に違反し、公正かつ透明な選挙を不可能にしたと批判した。また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアに投票所が2カ所しか設置されなかったことで、ロシア在住の数十万人が在外投票の権利を奪われたと主張した。
(本吉美友)
(モルドバ、ロシア)
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